東京都杉並区は11月21日、地図と組み合わせて街頭のパノラマ写真が見られるグーグルの情報サービス「ストリートビュー」について、区民からプライバシー問題などを懸念する意見が寄せられているとして、同社に適切な対応をとるよう申し入れたと発表した。

 グーグルのストリートビューは、道路に沿って地上2.5mの高さから360度パノラマ写真を撮影し、地図と組み合わせてインターネット上に公開しているサービス。国内では8月から東京、大阪など12都市を対象に始まった。地理を確認する際などに便利という意見がある一方、個人の住宅の敷地内が映り込むなどの事例があり、プライバシーや防犯上の問題を懸念する意見がある。グーグルは、利用者が不適切と判断した写真の削除要請を受け付けている。

 杉並区では8月12日と11月7日に、グーグルに対しプライバシーへの配慮と削除要請への適切な対応をとるよう申し入れた。その際に同社からインターネット上で個別削除の対応をしているとの回答を受けたという。

 これを受け杉並区はWebサイトなどで、区民にグーグルへの削除申請方法を案内している。また今後は国やほかの自治体の動向を見守りつつ、グーグルの対応を注視していくとしている。

 同サービスについては10月に東京都町田市議会がプライバシーや防犯上の懸念を理由に政府へ実態調査などを求める意見書を出したほか、11月13日に国会の衆議院総務委員会で同様の懸念が取り上げられた。日本弁護士連合会(日弁連)も11月21日にストリートビューによるプライバシー侵害の問題について実情を分析するための緊急集会を開催した。

■関連情報
・杉並区のWebサイト http://www.city.suginami.tokyo.jp/