図 伝送実験の概要
図 伝送実験の概要
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 NHKは2008年11月25日,NTT(持ち株会社)と共同で,データ伝送速度が10Gb/s級の誤り訂正符号化技術と120GHz帯ミリ波無線伝送技術を組み合わせて,6チャンネルの非圧縮のHDTV(ハイビジョン)信号(HD-SDI信号,1チャンネル=1.5Gb/s)をまとめて無線伝送することに成功したと発表した(発表資料)。使用した帯域幅は17GHzである。

 今回NHKは,120GHz帯における高信頼無線伝送用に,映像1ライン分のデータごとに誤り訂正符号が完結するような信号形式にして並列処理を容易にすることで,リードソロモン符号化方式によるデータ伝送速度10Gb/sを超える高速な信号処理を実現した。この誤り訂正符号化方式を用いることで,無線伝送距離を従来の2倍程度に伸ばすことが可能となるという。2008年10月には約3kmの距離での伝送実験に初めて成功した。この方式とNTTが開発している120GHz帯無線装置と組み合わせることにより,多チャンネルのHDTV映像を,遅延なく安定して伝送することが可能になった(図)。

 NHKによると,100GHzを超える周波数は無線伝送用途にはこれまでほとんど利用されていなかったが,広い周波数帯域幅を確保できるため,超高速無線伝送への利用が期待されているという。NHKは今後も,多彩で魅力的な番組作りの実現に向けて,大容量・超高速伝送の技術開発を進めていく方針である。 なお今回の実験用に開発した装置はマイクロウェーブ展2008(11月26~28日開催)で展示する。