新サービス「ハードイーサ」を発表する登大遊会長
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ロゴは光ファイバとRJ-45ジャックをかたどった
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900Mビット/秒を超えるスループットがあることを実演
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 「ベンチャー企業から“1Gビット/秒の専用線を安く利用したい”という相談を受けたが,適当なサービスが見つからなかった。そこで自ら始めることにした」。こう語るのは,VPNソフトウエア「PacketiX VPN」(当初の名称はSoftEther)を開発するソフトイーサ代表取締役会長の登大遊氏だ。同社は2008年11月25日,広域イーサネット専用線サービス「HardEther」(ハードイーサ)を始めることを発表した。サービスエリアは東京,茨城,千葉,埼玉,神奈川の1都4県。12月1日から同社のWebサイト上で申し込み受付を始める。

 ハードイーサの最大の特徴は,その価格の安さである。同一市内であれば,月額18万円程度から利用できる。都県をまたぐ場合でも,38万円程度から利用できる。既存の広域サービスが,同一MA(単位料金区域)で50万円以上,県間では数百万になることを考えると破格と言える。

 料金を安く出来た理由として,登会長は「保守サービスを限定的にしたこと,サービスエリアを関東地区に絞ったこと」の2点を挙げる。保守サービスは,既存の事業者が24時間365日対応するのに対して,ハードイーサでは基本的には同社の営業日と営業時間内のみとする。実際には「休日や夜間にも対応できる場合が多い」(登会長)が,約款上は24時間365日対応とはしていない。後者については,需要の多い関東地区にサービスエリアを限定することでコストを抑えたというわけである。

 そもそも,同社がハードイーサを始めることにしたのは,VPNの性能を最大限引き出したいから。登会長によると,筑波大学と共同で実施した試験では本来3.1Gビット/秒まで出せるものの,NTT地域会社の「Bフレッツ」では実際には50M~70Mビット/秒が限界という。物理的な回線の制約を受けることから,自ら手がけることにした。

 ハードイーサでは,800Mビット/秒のスループットと0.05%以下のパケット損失率,同一市内で0.46ms以下,同一都県内で0.81ms以下の通信遅延時間を保証する。サービスメニューは,バックアップ回線がないバリュータイプ,バックアップ回線があるスタンダードタイプとエンタープライズタイプの3種類がある。エンタープライズタイプは,専用線の数を2本用意し,1本が利用できなくなってももう1本の回線に自動的に切り替えることで,可用性を上げたものである。料金は,バリュータイプが最も安く,スタンダードタイプ,エンタープライズタイプの順に高くなる。