米IBMは米国時間2008年11月20日,人間の脳を参考にして大量データの高速処理を可能にする新たなコンピュータの開発に取り組むと発表した。脳の知覚/理解/動作/相互作用/認知といった機能を,脳と同程度の消費エネルギーとサイズでシミュレート/エミュレートできるコンピュータ・システムの開発を米国の大学5校と共同で進める。

 IBMはこのようなシステムを,思考力を備えるコンピュータすなちわ「認知コンピュータ」と呼ぶ。現在のコンピュータ・システムとは異なるアーキテクチャとプログラミング概念を採用し,ばらばらに存在する大量のデータを組み合わせて複雑なパズルを正確に解いて素早く結論を出せるという。研究には,スタンフォード大学,ウィスコンシン大学マディソン校,コーネル大学,コロンビア大学メディカル・センター,カリフォルニア大学マーセッド校が協力する。

 「Cognitive Computing via Synaptronics and Supercomputing(C2S2)」と称する研究プロジェクトの最終目標は,神経細胞(ニューロン)とその接合部(シナプス)をナノ・サイズのデバイスで模倣し,大きさと消費エネルギーが脳並みのシステムを開発すること。さらに,さまざまなセンサーなどに認知コンピュータを組み込んでユビキタス・デバイスとして利用することを考えている。

 米国防総省高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)は,この研究プロジェクトに490万ドルの資金を提供した。

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