自主ガイドラインを発表した日本オンラインドラッグ協会理事長でケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏
自主ガイドラインを発表した日本オンラインドラッグ協会理事長でケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏
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 NPO法人日本オンラインドラッグ協会は2008年11月20日、「安全・安心な医薬品インターネット販売を実現する自主ガイドライン」を発表した。

 同ガイドラインは、インターネット経由で医薬品を販売する薬局・店舗が安全で安心な医薬品販売体制を整えるために必要な条件を示したもの。2009年6月から施行される予定の改正薬事法においては、一般医薬品を副作用などのリスクに応じて三つに分類することが決定している。ガイドラインでは、最もリスクの高い分類となる第一類医薬品については、医薬品の郵送前ないし郵送と同時に情報を書面にて提供することとし、第二類、第三類医薬品については書面による情報提供は義務化しないものの、医薬品の注文時に定められた情報を提供していくべきと明記している。

 日本オンラインドラッグ協会がこのような自主ガイドラインを発表した背景には、厚生労働省が9月17日に発表した「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」において、従来可能だったネットによる医薬品販売に規制がかかろうとしていることがある。

 同協会は9月17日にも自主ガイドラインを発表している。11月20日に都内で開催した記者発表会において、同協会の理事長を務めるケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏は、「厚生労働省が発表した省令案に合わせて販売フローを確立した」と前回のガイドラインとの違いを説明した。

 一方、全国薬害被害者団体連絡協議会は11月17日、「一般用医薬品のインターネット販売の規制を求める要望書」を内閣府特命担当大臣の甘利明氏あてに提出。第一類、第二類に対してネット販売を規制する内容になっている現行の省令案に対し、第三類も含めて規制するよう要求している。

 こうした薬害被害者団体の動きに対して、後藤理事長は「目指すゴールについては薬害被害者の方と同じ。一般医薬品が安全で安心に販売できる体制を整えていかなければならない」とし、「だからこそネット販売に対しても自主ガイドラインの枠組みが必要だ」と主張。個人による海外からの未承認薬の輸入販売などと混同されている懸念を示し、こうした流通こそ根絶すべきだとした。

 日本オンラインドラッグ協会は、「インターネットを含む郵便等販売による一般用医薬品の販売規制に関する意見書」を11月20日に甘利明大臣あてに、11月21日には厚生労働大臣の舛添要一氏あてに提出する。厚生労働省は現在、9月17日発表の省令案に対して実施したパブリックコメント(意見募集)の集計、および厚生労働省としての意見をまとめている状況。11月中にも集まった意見を加味した省令案を発表する見通し。一度決まった省令を覆すことは容易ではないため、一般医薬品のネット販売規制に反対する陣営と一層の規制強化を求める団体による攻防が強まっている。