米サンフランシスコで開催中のAdobe MAX 2008会場でインタビューに応じるモバイル&デバイス部門担当ディレクター,アヌープ・ムラーカ氏
米サンフランシスコで開催中のAdobe MAX 2008会場でインタビューに応じるモバイル&デバイス部門担当ディレクター,アヌープ・ムラーカ氏
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 米アドビシステムズのモバイル&デバイス部門担当ディレクターであるアヌープ・ムラーカ氏が,米サンフランシスコで開催中のカンファレンスAdobe MAX 2008の会場でインタビューに応じ,同社の「Open Screen Project」に基づくモバイル端末戦略や日本市場について語った。Open Screen Projectは,様々な機器でFlashを利用可能にするオープン化戦略であり,アドビシステムズが2008年5月1日に発表した(関連記事)。ムラーカ氏の発言趣旨は以下の通り。

 Open Screen Projectは,各種機器の実行環境を標準化する試みだ。そのために,マイクロプロセサを提供する企業だけでなく,MTVやコムキャストといったコンテンツ・プロバイダとも提携することで,コンテンツの要求に合った技術開発を進める。併せて,デベロッパが可能な限り簡単にアプリケーションを開発できる一貫した環境を提供する。

 2008年11月17日(米国時間)に米クアルコムが公開した「Brew Mobile Platform(BMP)」用SDKは,アドビが開発したFlashベースの「Adobe Mobile Client(AMC)」の技術に基づいて作られている。AMCはActionScriptバージョン1と2のサブセットをサポートするFlashPlayer 6相当の機能を持ったOEM技術の呼称だ。Brew端末用AMCでは,ActionScript1を使って,GPSやデータベース,ネットワークとの連携といったエクステンション機能を端末に読み込める。

 Brew端末で実行可能なFlash(swf)は,Adobe Extension Managerを使ってSDKをAdobe Creative Suite(CS3およびCS4)に組み込んで制作できる。これで,Adobe Creative Suiteがモバイル端末向けFlash制作ツールとして活用可能な環境が整った。

 アドビは現在,2009年第3四半期頃の発表を目指して,ARMと共同でARM搭載端末向けのSDK開発作業も進めている。ARM端末のSDKが登場すれば,携帯電話の操作画面を含むアプリケーションを,Flashで開発する機会が広がる。携帯電話のFlash製UIは2006年8月に,サムスンとアドビが協力してSAMSUNG SGH-D900(FlashLite2ベース)を発表したが,こうした事例と同様の試みも可能だ。

 日本からはNTTドコモ,KDDI,東芝,パナソニックなどがOpen Screen Projectに参加している。今後,日本向けの製品にAMCが対応する可能性もある。現在日本の携帯電話が搭載するFlash実行エンジンのFlashLiteは,今後AMCに統合する方針だ。

 日本の携帯市場は閉鎖的だと言われているが,私は日本がいわゆるガラパコス状態だとは思わない。そもそも携帯電話におけるFlashのすばらしい活用事例を最初に見せてくれたのは日本だ。日本独自の動きに倣って世界が動くことはある。また,世界各国で携帯電話の活用方法は異なるものだ。求められるコンテンツも違う。日本は日本なりの価値観でビジネスすれば,グローバルに市場を広げていける可能性はある。

■変更履歴
公開当初の記事本文5段落目でサムソンと表記していましたが,サムスンの間違いです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/12/24 11:45]