米Adobe Systems最大のプライベート・カンファレンス「Adobe MAX 2008」開幕2日目(米国時間2008年11月18日),Tim Buntel氏の基調講演はデザイナーとデベロッパの協業支援がテーマ。講演で中心になった製品は,現在開発中の「Adobe Flash Catalyst(旧コードネームThermo)」だ。

 Flash Catalystは,RIA(Rich Internet Application)のユーザー・インタフェース画面作成ツール。マイクロソフトのRIA開発ツールで言うと「Expression Blend 2」に相当する。FlashやIllustratorとの間で,ラウンドトリップ型(ツールが緊密に連携した環境)の開発ができる。CatalystとIllustratorといった制作ツール間で行き来するデータは,「FXG(Flexグラフィック)」という形式。最終的にデベロッパにわたるファイルは「FXP(Flexパッケージファイル)」という形式になる。

 講演ではさらに,Adobe Labのプロジェクトで開発しているツール「Alchemy」や,RIA開発ツール「Flex」の次期バージョン(コードネーム「Gumbo」)のデモも披露した。Alchemyは,CおよびC++のコードをActionScript仮想マシン上で動作させるための変換ツール。Adobe Labのプロジェクトとして,ツールキットをAdobe Labのサイトからダウンロードできる。今後Adobeは,CatalystとGumboを中心に,デザイナーとデベロッパの協業環境をより良くする作業に注力するという。

 なお,Catalyst(Mac版)はAdobe MAX 2008参加者にCDで配布された。東京で2009年1月29,30日に開催されるAdobe MAX Japan 2009の参加者にも配布するという。2009年初頭にはWindows版を加え,パブリックベータの配布を開始する予定だ。

基調講演が始まるまで参加者同士がオンライン・ゲームに興じている。画面はゲームの様子を表示している。MC担当者のあおりトークもあってなかなかの盛り上がり。
基調講演が始まるまで,参加者同士がオンライン・ゲームに興じている。画面はゲームの様子。MC担当者のあおりトークもあってなかなかの盛り上がり。
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開演を待つ参加者。開幕初日の基調講演と同様,ほぼ満席だ。
開演を待つ参加者。開幕初日の基調講演と同様,ほぼ満席状態だ。
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大音量のポップソングとともにスタート。大画面の映像が美しい。
大音量のポップソングとともにプレゼンテーションがスタート。大画面の映像が美しい。
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プレゼンテータ役のTim Buntel氏が登壇。ツールの紹介をしようとしたその時…
プレゼンテータ役のTim Buntel氏が登壇。ツールの紹介をしようとしたその時…
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スクリーンに異変が!!
スクリーンに異変が!!
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いつのまにかサングラスをかけて黒服のエージェント姿になっているBuntel氏(中央左)。右側はAdobe SystemsのBen Forta氏。
いつのまにかサングラスをかけて黒服のエージェント姿になっているBuntel氏(中央左)。右側はAdobe SystemsのBen Forta氏。
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「デザインエージェントに相談だ!」というわけで,Adobe Flash CS4でアニメーションを作成するデモを開始。
「デザインエージェントに相談だ!」というわけで,Adobe Flash CS4でアニメーションを作成するデモを開始。
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デザイン・アセット(FlashやPhotoshopで作成した部品のこと)が完成したら,あとは画面の実装だ。ここで,現在開発中の「Adobe Flash Catalyst(旧コードネームThermo)」を紹介。
デザイン・アセット(FlashやPhotoshopで作成した部品のこと)が完成したら,あとは画面の実装だ。ここで,現在開発中の「Adobe Flash Catalyst(旧コードネームThermo)」を紹介。
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Catalystの画面でデザイン・アセットをダブルクリックすると,Adobe Illustrator CS4が起動する。デザイン・アセットの制作元とひもづいており,ラウンドトリップ型(ツールが緊密に連携した環境)のデザインワークができる。
Catalystの画面でデザイン・アセットをダブルクリックすると,Adobe Illustrator CS4が起動する。デザイン・アセットの制作元とひもづいており,ラウンドトリップ型のデザインワークができる。
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Catalystで,画面切り替えといったインタラクションを付けている様子。ユーザー・インタフェースはFlashにそっくり。RIAの画面を作るには今後このツールを使うことになる。Flashはインタラクティブ・ムービー制作ツールという位置付けに変わる。
Catalystで,画面切り替えといったインタラクションを付けている様子。ユーザー・インタフェースはFlashにそっくり。RIAの画面を作るには今後このツールを使うことになる。Flashはインタラクティブ・ムービー制作ツールという位置付けに変わる。
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ここからデベロッパ・エージェントに作業交代。ところで「ロジックのコードを書いていいかい?」というくだりで,マイクロソフトの「Visual Studio」の操作画面を出して観客を驚かせたところで,おもむろにAlchemyの説明を始める。
ここからデベロッパ・エージェントに作業交代。ところで「ロジックのコードを書いていいかい?」というくだりで,マイクロソフトの「Visual Studio」の操作画面を出して観客を驚かせたところで,おもむろにAlchemyの説明を始める。
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Cでコードを書いて…
Cでコードを書いて…
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Alchemyで変換してActionScript仮想マシン上で実行。「Hello, MAX!」の完成。「C/C++は良いプラットフォームがないからね…」というギャグも。
Alchemyで変換してActionScript仮想マシン上で実行。「Hello, MAX!」の完成。「C/C++は良いプラットフォームがないからね…」というギャグも。
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C++で書かれたゲームもActionScript仮想マシン上でエミュレートできる!というデモ。
C++で書かれたゲームもActionScript仮想マシン上でエミュレートできる!というデモ。
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Adobe Flexの次期バージョン,コードネームGumboを使って,Catalystと連携したラウンドトリップ型開発のデモを行った。Catalystとの連携はGumboから備わる機能。
Adobe Flexの次期バージョン,コードネームGumboを使って,Catalystと連携したラウンドトリップ型開発のデモを行った。Catalystとの連携はGumboから備わる機能。
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