米ロックユーCTO兼設立者のジア・シェン氏
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米ロックユーのサイト
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 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上でウィジェット(簡易アプリケーション)を開発する米ロックユーCTO(最高技術責任者)兼設立者のジア・シェン氏は2008年11月14日、宮崎県宮崎市で開催中の「Infinity Ventures Summit 2008 Fall」で講演を行った。

 シェン氏は冒頭、ロックユーをSNS上で動くアプリケーションを開発する企業として紹介し、月間で20億ページビュー獲得していると簡単に自社を紹介。その後、ウィジェットビジネスの現状、および自社の立ち位置について解説した。

 シェン氏は2005年と2008年の全世界におけるトラフィックのランキング10位までを提示。2005年時点でSNSは「MySpace」だけだったが、2008年には「Facebook」「hi5」「orkut」など六つがランクインしていることを指摘し、SNSが確実に力を伸ばしていると主張した。また、各国において人気のあるSNSが異なる傾向がある点に触れ、さまざまなSNSが世界中で大変な数に膨れ上がっていると指摘した。

 「バイラルマーケティングが成功のカギを握る」と言いながらシェン氏が紹介したのがロックユーの獲得ユーザー数の推移。シェン氏によると、ロックユーは最初にMySpaceでサービスを開始して3カ月で100万ユーザーを獲得。その後、2年間で5000万ユーザーを獲得したという。このユーザーを素早く獲得できるスピードこそ、SNSの持つバイラル効果だという。

 ロックユーのユーザー獲得数が一気に伸びたのがサービス開始から18カ月後。「この時期にFacebookがプラットフォームを開放したため」(シェン氏)だという。そして、「プラットフォームの開放は我々にとってメリットが大きいが、SNS運営事業者にとってもメリットが大きい」(シェン氏)と主張。

 例えば、英国で著名なSNS「Bebo」では同社がウィジェットを開発してから急激に利用者数が伸びたとし、また米国におけるSNS「Friendster」もロックユーによるウィジェット開発でアクセスが集中し、サーバーがダウンする事態を招くほどユーザーが増えたとした。「SNSはユーザーを集めるという意味で重要な役割を担う。我々は集めてきたユーザーにさらに多くの時間を費やしてもらう役割を担っている」(シェン氏)とし、SNS事業者、ウィジェット開発事業者は双方にウィンウィンの関係にあると主張した。

 また、SNSがプラットフォームを開放するメリットを、具体的な利用統計を引用しながら説明した。シェン氏によると、Facebookユーザーの95%が何らかのウィジェットをダウンロードしており、65%のユーザーが1カ月のうちに何らかのウィジェットを利用しているという。

 シェン氏は「SNSのプラットフォーム上で展開するアプリケーションはWebページと変わらないものだと思っている」と言い、開発者はいままでWebサイトを作ってきたのと同じ流れでSNS上でアプリを開発できるとした。同時にWebサイトと同じ、ユニークユーザー(UU)、ページビュー(PV)、滞在時間といった指標が重要視されるようになり、「これこそまさにWeb1.0からWeb2.0になった瞬間だ」(シェン氏)と述べた。