世界で稼働中のスーパーコンピュータの性能を集計しているTOP500プロジェクトは米国時間の2008年11月17日、最新のランキングを発表した。米テキサス州オースチンで開催中のスーパーコンピュータの世界的な学会・展示会SC08の会場で発表会が催される。

 今回の目玉は2つ。1ペタ超の性能競争に1ユーザーが加わり2システムとなったこと。そして中国のシステムがトップ10入りしたことだ。

 1ペタ競争に新たに加わったのは、米オークリッジ国立研究所が導入した米クレイの「XT5」。1.059ペタをマークして2位にランクインした。プロセサは米AMDのOpteronを搭載している。トップは米エネルギー省の(DOE)国家核安全保障管理局(NNSA)が今年6月に導入した米IBMのブレードサーバーのシステムである。プロセサに汎用の「x86」と独自の「Cell」を搭載したハイブリッド機でコードネームが「Roadrunner」。今年6月に初登場した時点では性能が1.026ペタFLOPS(1ペタは1000テラ)だったが、今回1.105ペタまで性能を増強し1位の座をキープした。

 中国からランクインしたのは上海スーパーコンピュータセンターが導入した、中国Dawning Information Industry(曙光)のシステム。180テラFLOPSで10位となった。なお、このシステム以外のトップ10はユーザーもメーカーもすべて米国勢である。

 日本勢では東京大学の「T2K」が最高位の27位。前回の16位から後退した。日立製作所のPCクラスタ型で、82テラFLOPSをマークしている。登場時点はトップだった地球シミュレータは74位だった。日本の一般企業では、企業名を明かさないものの62位と385位に自動車メーカー、384位に通信事業者、459位に金融関連のシステムが入った。唯一企業名を明かしているソニーの情報技術研究所は478位だった。62位の企業はIBM、それ以外は米ヒューレット・パッカードのシステムを導入している。

 TOP500は「LINPACK」と呼ぶ連立一次方程式の主に浮動小数点演算を解くベンチマーク性能で順位を決定する。TOP500プロジェクトが毎年6月と11月の2回、集計して結果を公表している。