日本通信は2008年11月13日,2009年3月期の連結中間決算を発表した。上期(2008年4月~9月)の売上高は対前年同期比20.9%増の22億500万円だったが,営業損益は7億3300万円の赤字だった。損失額は第1四半期の2億7000万円から大幅に拡大した。

 同社はNTTドコモとのレイヤー3接続に基づき,2008年8月7日から3Gのデータ通信サービスを開始。9月末までに2万6688回線の新規契約を獲得し,日本通信単体の売上高は第1四半期に比べて145%増加した。それにもかかわらず営業損失が拡大したのは,第2四半期決算から会計処理方法を見直したため。

 日本通信はデータ通信端末と一定時間の通信利用権をパッケージ化して販売している。このため従来は売り上げを通信端末と通信料に区分して,通信端末は販売時に一括,通信料は利用期間に案分して,それぞれ売上計上していた(未利用期間の通信料は前受収益として負債計上)。

 しかし,NTTドコモとの相互接続で実現した新商品は,従来のように通信端末と通信料に分けて計上するのが難しいという。日本通信のようにSIMフリーで通信端末だけを販売したり,利用時間で課金したりする事例がなく,売り上げとして計上すべき「公正な市場価格」を導き出しにくいとする。

 このため,新商品と機器組み込み型ソリューションについては,通信端末と通信料を区分せずに販売時に一括して売上計上することにした。ただし,売上高から通信端末の売上原価を控除して算出した売上総利益を利用期間にわたって計上する。今回は「通信サービス繰延利益額」として7億5900万円を第3四半期以降に繰り延べた。「仮に利益を繰り延べなかったとすると,第2四半期の営業損益は単体で9700万円,連結で400万円の黒字だった」(同社)とする。

 今回,会計処理方法を変更したため,4月21日に公表した通期予想はいったん取り下げ,改めて公表することにした。

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