写真●富士通の長田格 組込みソフトウェアテクノロジ事業部事業部長
写真●富士通の長田格 組込みソフトウェアテクノロジ事業部事業部長
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 富士通は2008年11月14日、組み込み機器用HTMLブラウザ「Inspirium HTMLブラウザ」の新版を発表した。特徴はインターネット上でデータをやり取りする際のセキュリティを強化したことである。

 今回発表した「Inspirium HTMLブラウザ V4.0」はWebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)をサポートした。WebDAVはWeb用のデータ転送プロトコルであるHTTPを拡張したプロトコル。通常、クライアントからサーバーに画像などのファイルをアップロードする際にはファイル転送用のプロトコルFTPを使用し、そのファイルを閲覧する際にHTTPを用いる。そのためサーバーではHTTPが通過するポート80とFTPが通過するポート21の2つのポートを開けなくてはならない。だがWebDAVでは、ポート80を開くだけでファイルのアップロードや閲覧が可能になる。

 富士通の長田格 組込みソフトウェアテクノロジ事業部事業部長は「多くの企業ではセキュリティなどを考慮し、複合機でスキャンした文章をFTPを使って直接サーバーにアップするといったことを禁止している。だがInspirium HTMLブラウザを搭載した複合機を使えば、セキュリテイレベルを下げることなく複合機からサーバーへアクセスできる」と話す。

 デジタルカメラにInspirium HTMLブラウザを搭載し、無線LANからインターネットに接続し画像共有用のサーバーに写真をアップロードするといった用途も想定している。「5年後には半分くらいのデジカメがWebDAV対応ブラウザを搭載するだろうと見込んでいる」(富士通の長田部長)。

 販売目標は富士通の組み込み機器用ミドルウエアのブランドである「Inspirium」シリーズ全体で、3年間で60億円。