みずほ証券が2005年12月のジェイコム株誤発注による損失の賠償を求めて東京証券取引所を訴えた裁判の第12回口頭弁論が2008年11月14日、東京地方裁判所で開かれた。みずほ証券側は「誤発注を取り消せなかったことにより損失を被った全責任は東証にあり、過失の相殺は認められない」と改めて主張する準備書面をこの日までに提出した。

 みずほ証券側は「取消注文を送信して、それが東証の株式売買システムに正常に受け付けられたにもかかわらず取り消せなかったのは、東証のシステムの不具合が原因であることに議論の余地はない」と強調。「東証に取消処理の債務不履行とシステム発注者としての重過失がある」とした。

 東証側は「そもそも誤発注がなければ損失は発生しなかった」との考え方に基づいて「仮に債務不履行と重過失に当たるなら、みずほ証券の過失に基づく大幅な過失相殺がされるべき」と主張。これに対して、みずほ証券側は「過失相殺の分野における研究者や学者の意見書を引用し「誤発注は過失相殺の事由にはならない」と改めて反論した。「みずほ証券が誤発注の損害を回避するために何らかの義務を負うとしても、せいぜい取り消し注文を出すことにとどまる。対する東証は取り消し注文に応じて取消処理を行う義務を負う。このような『リスク分配の合意』があること、取り消し注文を適切に出していることから、過失相殺とはならない」というのが、みずほ証券側の主張である。

 みずほ証券側は今後、これまでの主張を総括する最終準備書面を提出。12月19日の第13回口頭弁論をもって第一審が結審する。判決は2009年3月ごろの見通しだ。

 この裁判は、2005年12月にジェイコム株の誤発注により400億円を超える損失を出したみずほ証券が、誤発注を取り消せなかったのは東証のシステムの不具合が原因だとして、東証に約415億円の損害賠償を求めたもの。2006年12月の裁判開始からほぼ2年が経過している。2003年7月に施行された「裁判迅速化法」では「第一審を2年以内のできるだけ短い期間内に終局させること」を目標として掲げている。