●米マハロCEO(最高経営責任者)ジェイソン・カラカニス氏
●米マハロCEO(最高経営責任者)ジェイソン・カラカニス氏
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 米国ではグーグル対抗の検索エンジンになると期待されている「Mahalo」を運営する米マハロCEO(最高経営責任者)ジェイソン・カラカニス氏は2008年11月13日、宮崎県で開催されている「Infinity Ventures Summit 2008 Fall」で、「スタートアップの未来」と題した講演を行った。カラカニス氏は、起業家向けイベント「TechCrunch50」の運営にもかかわっている。

 カラカニス氏は冒頭、現在米国を中心に広がっている不景気に言及。「大企業は雇用が削減されるだろう。グーグルにも過去10年間の歴史で一度も無かった雇用削減の波が押し寄せるのでは」と、米国経済の厳しさを伝えた。

 また、米国ではこれまで小さなスタートアップ企業から革新性が生まれ、それをグーグルやマイクロソフトが吸収するという図式で発展を続けてきたが、そのサイクルが止まるだろうと予測。不景気が最も影響を受ける広告業界も伸び悩みを見せており、スタートアップ企業の5~8割はこうした波にのまれ、消えていくとした。

 こうした現状を踏まえた上でもなお、カラカニス氏は悪いニュースばかりではないと主張。2000~2002年に米国でネット広告の成長率が一度鈍った例を見せ、「この時、効率のいい広告を作ろうとみなが学んだことで、その後急速に発展を遂げた」(カラカニス氏)。こうした負の経験をしたことが後の成長につながったと私見を述べ、「私は1994年からネット業界を見てきているが、今が一番面白い時期だ」という。

 カラカニス氏の主張はこうだ。例えば1995年から2000年までに起業したことのある人は立ち上げに非常にお金がかかっていた。サーバー、ソフトウエア、PR、採用などさまざまな費用が発生していたが、いまは起業コストが圧倒的に安い。

 サーバーはアマゾンやグーグルのクラウドサービスを利用し、ソフトウエアもオープンソース、広告もグーグルを初めとするプラットフォームを利用できる。「Twitter」やブログを使いコストをかけずにPRできるほか、採用活動も米国のビジネスパーソンの間で急速に広がっているSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「LinkedIn」などを利用可能。「起業家は考える時間だけあればいい」(カラカニス氏)。