写真1●NECビッグローブは,家庭のCO2排出量を「見える化」するソリューションをパネル展示した
写真1●NECビッグローブは,家庭のCO2排出量を「見える化」するソリューションをパネル展示した
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 NECビッグローブは,家庭のCO2排出量を「見える化」するソリューションを,2008年11月11日から13日まで開催の「iEXPO2008」に出展している。2009年上半期にも,自治体や環境への取り組みに熱心な企業向けに,ASP(Application Service Provider)サービスとして提供を開始する予定である。

 当初は,家庭における電気使用量をモニタリングして,CO2排出量に換算するサービスを手がける。ガスや水道などについても順次対応を進めていく。電力使用量の計測ユニット子機は名刺サイズで,家庭の分電盤に取り付ける。計測データは子機から親機への無線通信を経由して,インターネットを介してBIGLOBEのサーバーに送られる。ユーザーは家庭用パソコンや携帯電話から,ブラウザ経由で自宅のエネルギー使用状況を観察できる。

 エネルギー使用状況をどのように「見える化」するかは現在検討中という。「例えば,月初めから当日までの累積のCO2排出量を算出し,前年同月との差分を取った値を,過去数カ月にわたってグラフ表示することを考えている」(同社事業開発室エキスパートの山崎邦彦氏)。こうすれば,昨年の同時期と比べてどれくらい削減できているかが一目で分かるというわけである。

 「家庭での省エネの取り組みは,面倒さも手伝って,環境意識がある人でもなかなか長続きしない。いかに飽きさせず,継続させるかに知恵を絞った」と山崎氏。その工夫の一つが,家庭でのCO2削減分をエコポイントとして蓄積していく仕組みである。大手家電量販店や鉄道会社などでは,省エネ製品やサービスの購入によってエコポイントを付与するサービスを行っているところも多い。同社は,そうしたポイントシステムと連動することで,楽しみながら取り組めるようにすることを狙っている。

 NECビッグローブでは,自治体や電力やガスなどのエネルギー会社,家電量販店,マンション・デベロッパーなどに,このソリューションをASPサービスとして売り込む計画。計測ユニットやルーターなどのモニタリング装置は合計で3~4万円ほどかかり,BIGLOBE会員を含めた消費者にサービスを直接売り出すことは難しいと考えたからだ。

 その一方で,「環境」という付加価値によって,自社サービスの差別化を図りたいとする企業は少なくない。「環境意識の高い自治体が住民向けのサービスとして,あるいはマンション事業者が居住者向けのサービスとして導入したいといった引き合いがいくつか来ている」と山崎氏は話す。

 2009年2月から,社員100世帯を募ってパイロット試験を行い,その結果を見てサービス内容や価格の詳細を決める予定。2009年上半期のサービス開始を目指す。