写真●標準バスに光学センサーを取り付けた人工衛星の実物大モデル<BR>(撮影:皆木優子)
写真●標準バスに光学センサーを取り付けた人工衛星の実物大モデル<BR>(撮影:皆木優子)
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 NECは2008年11月13日まで開催中の「iEXPO2008」で,標準バスシステムを採用した小型人工衛星の実物大モデルを展示している(写真)。標準バスは人工衛星の本体部分の共通モジュールとなるもので,これに無線通信の設備や高精細カメラなど用途に応じた部品を追加して,最終的な人工衛星が完成する。経済産業省のプロジェクトにおいてNECが開発したもので,「2010年の実用化を目指している」(NEC宇宙事業推進室の担当者)という。

 人工衛星の設計には現在,「5年から長ければ10年もの期間がかかっている」(同)が,標準バスをベースにすることで設計期間を2年ぐらいにまで短縮できる目処が立っている。NECでは最終的な目標を「設計期間1年」としており,これによって「人工衛星の開発コストを10分の1に減らすことができる」(同)という。

 標準バスは一辺の長さがほぼ1メートルの立方体。標準バスを使った人工衛星は現在の人工衛星と比較して,最大で10分の1程度のサイズにまで縮小できる。NECのような宇宙機器メーカーが開発した人工衛星は,衛星の発射を請け負う打ち上げ事業者のロケットに搭載されて,宇宙空間へ送られる。人工衛星のサイズが小さければ,「一度に2台を打ち上げるなどのやり方で,打ち上げにかかる費用も削減できる」(同)。