写真●タタ・テレサービシズのアニール・サルダナ社長とNTTドコモの山田隆持代表取締役社長
写真●タタ・テレサービシズのアニール・サルダナ社長とNTTドコモの山田隆持代表取締役社長
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 NTTドコモは2008年11月12日,インドのタタグループとの資本提携を発表した(写真)。タタグループ傘下の通信事業者タタ・テレサービシズの株式26%相当分を2640億円で取得する。インド内におけるタタ・テレサービシズのシェアは9.3%で第6位だが,インド最大財閥のブランド力のほか,契約者の伸びが年平均1.87倍と高い成長率を示していることを評価して出資を決めた。

 タタ・テレサービシズは2004年から携帯電話事業を開始し,現在の契約者数は約3000万(関連会社を含む)。約3500店の専門店,直営店があり,店舗数はインド内で最大だという。現状の通信形式はCDMAで,2009年1月からはGSMに対応する。NTTドコモの山田隆持代表取締役社長は「タタ・テレサービシズはインドの携帯市場で後発だが,これから本格的な成長段階を迎える携帯会社。短期の財務リターンでなく,端末の共同調達やローミングなど中長期的な事業シナジーを狙える」と,取得を決めた理由を説明した。

 インドでは,ARPU(1契約当たりの月間平均収入)の約90%が音声サービスで占められており,データ通信の利用率は低いが,「NTTドコモと技術交流,人材交流を進め,ドコモの各種リソースを活用していく」(タタ・テレサービシズのアニール・サルダナ社長)ことでサービス内容を強化する方針を示した。NTTドコモの山田社長も「インドの利用者に使ってもらえるならiモードを投入する。将来は音楽配信,おサイフケータイといったサービスで付加価値をつけることも考える」と積極的な姿勢を見せた。GSMに対応させた後は,W-CDMAの導入も視野に入れる。

 出資比率の26%は「インドでは25%の株式を取得すると,経営の重要な案件で拒否権を持てる」(山田社長)ことを念頭に置いた。NTTドコモからは,3人の役員を送り込む。かつてNTTドコモは米AT&Tワイヤレスへの出資などで多額の特別損失を計上するという失敗の経験があるが「今回は単なる投機ではなく,事業投資。タタ・テレサービシズもドコモの技術を認めている。拒否権も持っており,リスクヘッジできる」(ドコモの山田社長)と健全性を強調した。

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