写真1●パナソニック モバイルコミュニケーションズ 商品企画担当の石井圭介取締役
写真1●パナソニック モバイルコミュニケーションズ 商品企画担当の石井圭介取締役
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写真2●パナソニック モバイルコミュニケーションズが描く今後の携帯電話の方向性
写真2●パナソニック モバイルコミュニケーションズが描く今後の携帯電話の方向性
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 パナソニック モバイルコミュニケーションズは2008年11月12日,携帯電話の秋冬モデルの商品説明会を開催し,「国内シェアNo.1を早期に奪還したい」(商品企画担当の石井圭介取締役,写真1)と宣言した。

 同社が攻勢に出る背景には,直近の出荷台数が堅調に推移していることが挙げられる。国内の携帯電話市場は成長期から成熟期に移行しつつあることに加え,買い替えサイクルの長期化,不景気の影響などが重なり,販売台数が減少している。携帯大手3社の決算を見ると,4~6月の販売台数は前年同期比21.6%減,7~9月は同23.4%減だった。

 他の国内メーカーが出荷台数の減少に苦しむ中,パナソニック モバイルコミュニケーションズの上期の出荷台数は「前年同期に比べて若干の微減でほぼ横ばい。利益率は開発コストの低減効果もあり,前年同期を上回った」(石井取締役)と健闘している。

 中でも「VIERAケータイ」が好調で,出荷台数は昨年11月の発売開始から約9カ月間で300万台を突破した。「ソフトバンクモバイルを中心にNTTドコモ以外の事業者でも端末の供給が伸びている」(同)。下期についても「国内全体の出荷台数は前年同期比30%減と推測しており,期初予想は若干下げたが,前年を上回る目標を立てている」と強気の姿勢を崩さない。

 今後は「モバイルリンク」をキーワードに,テレビやカメラ,ノート・パソコン,カーナビなどとの連携を強化していく(写真2)。「我々はパナソニック・グループの資産がある。家の中だけでなく,インターネット経由で屋外の機器と連携することも考えている」(石井取締役)。

 携帯電話の機能は「(1)端末への搭載,(2)スペックの向上,(3)カスタマイズという三つのプロセスを経て進化していく。一般の家電はこの三つで進化が止まるが,携帯電話は通信機能を利用して他の機器と連携することでさらに進化できる。携帯電話は(家電の操作など)ほぼすべての機器の基点になり得るものと考えており,広がりは無限にある。我々の努力で可能性はどんどん広がっていく」(同)と期待を込めた。

 もっとも国内シェアは1位のシャープとまだ差がある。「今年度中の逆転は厳しいが,来年度,再来年度に向けて頑張っていく。au向けの強化をはじめ,家電連携で新しい分野を切り開いて国内シェア・トップを目指す」(石井取締役)。さらにその先には「2010年度以降の海外進出を見据えて既に動いている」(同)。一口に海外といっても,国によって事情は異なる。各国の動向を見極めながら慎重に検討していくとした。

 このほかの主な質疑応答は以下の通り。

出荷台数の減少で国内の端末メーカーは今後どうなる。淘汰や再編の動きはさらに進むのか。

 私見だが,国内の総出荷台数が昨年度は5000万台,今年度が4000万台程度とすると,(最終的に生き残れるメーカーは)3社か4社かもしれない。(世界規模で考えると1社当たり1000万台強だと少ないように見えるが)端末の平均販売単価は(世界シェア1位の)フィンランドのノキアの4倍程度あり,国内の出荷台数が1000万台でも世界では4000万台を出荷したのと同じになる。

タッチパネル対応端末の提供予定は。

 「Wオープン」(端末のディスプレイ部分を縦横の両方に開ける機構)による使い勝手の良さを中心に訴求していくが,タッチパネルについてもある程度関心を持っている。来年度に向けて前向きに検討しており,必要なシーンや機能,端末に応じて部分的に導入することを考えている。

米グーグルを中心とした「OHA」(Open Handset Alliance)が提供する携帯電話端末向けの開発プラットフォーム「Android」を採用する予定は。

 未定だ。当社はLiMo Foundationを立ち上げたが,LiMoにこだわっているわけではない。他のプラットフォームも検討していく。