写真1●Trend Micro Smart Protection Networkを発表するエバ・チェン代表取締役 兼 CEO
写真1●Trend Micro Smart Protection Networkを発表するエバ・チェン代表取締役 兼 CEO
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 トレンドマイクロは2008年11月12日,インターネットのサーバー上でウイルスチェックなどを行う新しいセキュリティ基盤「Trend Micro Smart Protection Network」を2009年3月に本格稼働させ,同年第3四半期より対応する法人向けの製品とサービスの提供を開始すると発表した。

 Smart Protection Networkは,従来は同社の製品がパソコン/サーバー側で実行していた検査をトレンドマイクロのデータセンターに設置したサーバーで実施するというもの。「この結果,未知のウイルスに対する防御力が大幅に向上する」(トレンドマイクロのエバ・チェン代表取締役 兼 CEO,写真1)という。

 従来,同社はWebページに書かれているリンク先のURL情報,電子メールの送信元情報などから,Webページやメールの危険度をトレンドマイクロのサーバー側で判定する「Webレピュテーション」「E-mailレピュテーション」という機能を一部製品に搭載していた。今回,この機能に加えて,Webサーバーからダウンロードされたり,メールに添付されてくるファイルを検査する機能をトレンドマイクロのサーバー側に持たせる「ファイルレピュテーション」を投入する。究極的には,パソコン側には,小さなエージェント・プログラムを置けばよくなり,日々行うパターン・ファイルの更新作業も不要になるという。

 ファイルレピュテーションでは,クライアント側でファイルのハッシュ値を作って送る。このため,既知のウイルスしか検知できないが,ハッシュ値と合わせて送られるファイルのダウンロード元のURLやメールの送付元などをチェックすることで,未知のウイルスでないかを推測するという。危険性が高いファイルと推測された場合は,そこからダウンロードできる他のファイルやURLのつながりを解析し,危険なWebサイトのリスト拡充や新しい未知のウイルス発見につなげるという。

 なお,2009年第3四半期に,どの製品にこの機能を搭載していくかは現時点では公表していない。「2009年第2四半期に詳細を公表する」(チェンCEO)としている。

 また,個人向け製品の「ウイルスバスター」次期版にファイルレピュテーション機能を搭載するかどうかについても,「今のところ検討中」(プロダクトマーケティンググループ マーケティングプログラムマネージャの小林伸二氏)という。