写真●量子ビット回路(写真左)と,MRAM(写真右)
写真●量子ビット回路(写真左)と,MRAM(写真右)
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 NECは,コンピュータ分野の研究開発案件として,量子コンピュータを実現可能な量子ビット回路と,MRAM(磁気抵抗メモリー)と呼ぶ磁性体を利用したメモリーを,2008年11月11日から開催中のiEXPO2008で実物展示した(写真)。いずれも同社が2007年に発表したばかりで,これらの分野では比較的新しいデバイスである。

 展示した量子コンピュータの回路は,2つの量子ビットで結合用量子ビットを挟んだ構成の2ビット回路である。2つの量子ビットのいずれか一方のビットを変換する操作と,2つのビット両方を同時に変換する操作,以上2種類の操作を実現する。これにより,計算機のビット回路として汎用的に利用可能となっている。ビット操作は,3つあるそれぞれの量子ビットが反応するマイクロ波の周波数の違いによって使い分ける。

 展示したMRAMは,既存のSRAMの置き換えも視野に入れた,不揮発性メモリーである。2008年現在主流の不揮発性メモリーであるフラッシュメモリーと比べたMRAMのメリットは,データの読み書きがSRAM並みに高速である点と,SRAM同様に書き込み回数制限(寿命)が無いという点である。