NTT(持ち株会社)とNTT東西地域会社は2008年11月7日,2008年度中間期(2008年4~9月期)の決算に関する記者向け説明会の中で,2008年度のFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)回線の加入者目標を,当初の340万件から280万件に引き下げることを明らかにした。また,これまで掲げていた2010年度末までに2000万加入を目指す目標についても「かなり厳しい数字」(NTTの三浦惺社長)とし,現在の加入状況のままでは目標達成が難しいとする見解を示した。ただし現時点で目標値の変更は行わず,今後FTTH事業のテコ入れを実施し,その効果を見ながら今後のシナリオを検討する意向である。

 FTTHの販売数が伸び悩んでいる理由として三浦社長は,(1)STBの不具合があり,IPTVサービスを使った販売促進ができなかったこと,(2)米国発の金融不安の影響による消費マインドの減衰,(3)FTTHならではなサービスの魅力不足――の3点を挙げ,目標達成に向けてFTTH事業のテコ入れを行う方針を示した。具体的な対策として,(1)IPTVサービスの強化,(2)NGN(次世代ネットワーク)のエリア展開の前倒し,(3)パソコン以外の利用開拓――を行うという。

 IPTVサービスの強化については,現在東京都と大阪府の一部地域でしか提供していない地上デジタル放送のIP再送信を,2009年3月から順次神奈川,千葉,埼玉,愛知へと拡大する。またBS放送のIP再送信についても検討を進める。NGNについては,2008年度末にBフレッツの提供エリアの約6割の世帯で利用可能にし,さらにNTT東日本のサービスエリアについては従来計画よりも1年前倒しとなる2009年度中にもBフレッツエリア全域までサービスを拡大する。パソコン以外の利用開拓としては,ゲーム機やインターネット対応家電,ヘルスケア製品などとのセット提供を積極的に行う計画である。