総務省は2008年11月7日,携帯端末向けマルチメディア放送の具体的な放送方式の提案募集の結果を発表した(発表資料)。同省が2008年10月1~31日にかけて募集したところ,5件の提出提案があった。提案を行ったのは,(1)NHKやAMラジオ局,FMラジオ局,さらには道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)など17社・団体,(2)モバイルメディア企画,(3)マルチメディア放送企画LLC,(4)クアルコムジャパン,(5)メディアフロージャパン企画とKDDI――である。

 NHKやFM東京などが参加する17社・団体は, VHF帯ローバンドを利用する「地方ブロック向け放送」および「新型コミュニティー放送」の放送方式を提案した。「地上デジタル音声放送方式の技術的条件」(1999年11月29日に電気通信技術審議会が答申)をベースとして,「ダウンロード機能」や「簡易動画の高画質化」,「MPEGサラウンド」,「IPパケット多重機能」などを含んでいる方式である。

 (2)から(5)の陣営は,VHF帯ハイバンドを使う全国向け放送の放送方式を提案した。モバイルメディア企画は,携帯端末向けにマルチメディアコンテンツを提供するための機能拡張を行ったISDB-Tmm方式を提案した。同社は,ISDB-Tmm方式の採用と,2009年にフィールド実験を行う予定であることを発表した(発表資料)。

 マルチメディア放送企画LLCもISDB-Tmm方式を提示した。同社はISDB-Tmm方式を,「我が国の携帯端末向けマルチメディア放送の放送方式として最もふさわしい方式」としている。クアルコムジャパンと,メディアフロージャパン企画およびKDDIは,それぞれ「MediaFLO」方式を提案した。