写真1●UQコミュニケーションズの小池竜太コーポレート部門長
写真1●UQコミュニケーションズの小池竜太コーポレート部門長
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写真2●5パターンの接続形態によって7種類の料金プランを提示
写真2●5パターンの接続形態によって7種類の料金プランを提示
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 UQコミュニケーションズは2008年11月6日,2009年2月から試験サービスを開始するモバイルWiMAX事業について(関連記事),MVNO(仮想移動体通信事業者)向けの料金プランを公表した。MVNOがUQコミュニケーションズの無線設備を借りてデータ通信サービスを提供する際に同社に支払う料金に当たり,いわば“仕入れ値”と言える。

 接続の形態によって数種類の選択肢を用意した。例えばMVNO側で認証設備を保有しない形態をとる場合,加入台数1台当たりの月額料金は3300円(税別)とした。「(MVNOからは)この卸値と実際の提供料金の差は,4ケタ(1000円)は欲しいという要望がある」(UQコミュニケーションズの小池竜太コーポレート部門長,写真1)ことから,エンドユーザー向けの実際の料金は月額4000円台となる公算が高い。

 このほかMVNO側で認証設備を用意するケースでは,一部で帯域幅課金による接続料を取り入れた。例えば,10Mビット/秒ごとに「月額1290万円の帯域幅課金+加入台数1台当たり1900円の月額料金+月額30万~40万円の設備使用料」といった料金を用意している(写真2)。

 もっともUQが公開した料金は,NTTドコモが公表した10Mビット/秒ごとに月額1500万円というMVNO向けの接続料金や(関連記事),イー・モバイルの10Mビット/秒ごとに月額700万円という接続料金(関連記事)と比べると割高感がある。

 同社もそれを認めたうえで,「例えば100万人の会員を有するMVNOが帯域幅課金で回線を仕入れると,月額300円程度でサービスができてしまう。そこまで料金が下がると,ほかの事業者も値下げせざるを得なくなり,WiMAX事業が立ち上がる前に共倒れになってしまう。そのため帯域幅課金に加えて(エンドユーザー向けの下限になる),端末1台当たり月額1900円という料金を加えた」(小池部長)と説明する。

 なおこれらの料金は,あくまでパソコンからインターネットをフルに利用するようなケース。例えば白物家電にWiMAX機能を内蔵するケースなどトラフィックがそれほど発生しないケースにおいては,「料金をもっと下げていくことも考えられる」(小池部長)とした。事業が軌道に乗り次第,適宜MVNO向けの料金プランも見直していくという。また試験サービス中はエリアも狭いことから無料で提供し,2009年7月から有料化する計画だ。

基地局は9月末で200局程度,端末メーカー5社から端末を調達

 会見では同社のWiMAX事業開始に向けた取り組み状況についても触れた。2008年8月末から基地局設置作業に入り,9月末で200局程度の基地局の設営が完了したという。試験サービス開始時までに600局程度に増やす。

 さらに端末メーカー5社(国内メーカー4社,海外メーカー1社)からUQブランドのモバイルWiMAX端末を調達したことも明らかにした。USBドングル型,PCMCIA型,Express Card/34型を用意。試験サービス期間中,MVNO向けに端末を1万2000円で有償販売する。

 同日に開催したUQによるMVNO向けの説明会には185社が参加。UQに対してMVNOの協議を申し込んだ事業者は66社に上るという。内訳はISPが15社,通信事業者が10社,CATV事業者が9社,メーカー4社,その他の業種が28社(メーカー関連会社が多数)であり,多彩なプレーヤーが参画していることが伺える。

■変更履歴
小池竜太コーポレート部門長の肩書きを「コーポレート部門長兼渉外部長」としていましたが,9月末で渉外部長の兼務は解けています。お詫びして訂正します。なお本文は修正済みです。 [2008/11/07 23:39]