写真●ロボット執行役員経営企画室長の境治氏
写真●ロボット執行役員経営企画室長の境治氏
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 劇場用映画、アニメーション、テレビCM、Web制作、グラフィックなどを手掛けるロボットの執行役員経営企画室長の境治氏(写真)はNETMarketing Forum Fall 2008において「エンタテインメントがブランディングを増幅させる」と題した講演を行った。

 境氏は冒頭で広告費の大幅削減の現状を説明。特にマスメディアの比重が急減している点について触れた。その上で「インターネットにおける広告が増えているということもあるだろうが、企業によるコミュニケーション戦略自体が変わってきているのではないか」(境氏)と仮説を披露。「認知」から「購買」を目的としたコミュニケーション戦略に移ってきていると分析した。

 従来の企業によるコミュニケーションを20世紀型コミュニケーションモデルと位置付けた場合、広報・IR、採用、宣伝部、販促部がかかわってきた。その中で特に宣伝部が力を持ち、マス媒体を使っていかにブランドの認知を行うかという役割を担っていたと境氏は指摘した。その一方で、販促部は実際に店頭でどう購買に結びつけるかという役割を担っていた。つまり、これまでのコミュニケーション戦略では宣伝部と販促部の間に境界線があり、これを取り払ったものが21世紀型コミュニケーションモデルではないかという主張だ。

 境氏は、既にコミュニケーション戦略において経営企画、広報・IR、採用・宣伝部・販促部といった部署が近づいたり、くっついたりしてきているのではないかという。特に経営企画がコミュニケーション戦略にかかわり始めており、ブランドを販売に直接結びつけていくことが求められ始めているとした。

 そこで重要視されていくと境氏が主張するのが「ブランディングコンテンツ」と呼ばれるものだ。つまり、コンテンツを通じてブランドを体験させることが今後求められていくという。その際に同社はエンターテインメントがその役割を担えると考えているとした。また、ブランディングコンテンツの提供において、Webサイトやケータイは起点、終着点の両方を担うプラットフォームと位置付けていると主張した。

 その後、境氏は同社が手掛けた事例を紹介しながら「ブランドはユーザーと共有して初めて効力を持つもの。ユーザーに愛してもらわなければならない」と述べ、エンターテインメントを活用して企業によるコミュニケーションの最適化を図る必要があると力説した。