図1●LTEとWiMAXは基地局での処理の多くが共通している<br>一番上のブロック列が処理のおおまかな分類を示している。上から2番目と3番目が,それぞれLTEとWiMAXの処理。一番下のブロック列は,フリースケールの製品による実装例。
図1●LTEとWiMAXは基地局での処理の多くが共通している<br>一番上のブロック列が処理のおおまかな分類を示している。上から2番目と3番目が,それぞれLTEとWiMAXの処理。一番下のブロック列は,フリースケールの製品による実装例。
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図2●積和演算機能の強化により使用チップ数を減らせる&lt;br&gt;左側の三つのチップが従来品による構成。右側にある今回のDSPの性能は,それら三つのチップに相当する。
図2●積和演算機能の強化により使用チップ数を減らせる<br>左側の三つのチップが従来品による構成。右側にある今回のDSPの性能は,それら三つのチップに相当する。
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 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは2008年11月5日,次世代無線方式の基地局向けDSP(digital signal processor)の新製品「MSC8156」を発表した。1種類のDSPで,LTE(long term evolution),WiMAX,次世代PHS,HSPA+(high speed packet access+),TDD-LTEといった複数の次世代無線通信規格に対応できる。

 次世代の無線通信規格は,OFDM,MIMO,ターボ符号など,処理内容に共通している部分が多い(図1)。同社はそこに目を付け,そうした共通している部分の処理をハードウエアで実行するアクセラレーション・コアを搭載した。これにより,1種類のDSPで複数の次世代無線通信規格をサポートできるようになり,このDSPを使う基地局ベンダーはトータルの開発コストを大幅に低減できるとしている。

 また,今回のDSPは,45nmプロセスを採用することで集積度を上げ,積和演算(MAC)処理を48GMAC(480億MAC演算/秒)にまで高めた。90nmプロセスで製造した同社の従来品では2個のDSPと1個のベースバンド・プロセッサが必要だったのに対し,今回のDSPは1個で済む(図2)。これにより,基地局の製造コストを下げられるという。

 同社は,一部のユーザー向けにサンプル製品の出荷を2009年第1四半期に開始する予定。1万個購入時の1個当たりの価格は192米ドルである。

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