米連邦通信委員会(FCC)は米国時間2008年11月4日,携帯電話事業者の米Verizon Wirelessが同業の米Alltelを買収することを承認した。この買収によって,Verizon Wirelessは全国規模で高品質なサービスを提供できるようになり,公共の利益になるとFCCは判断した。

 買収を認める条件としてFCCは,両社のいずれかが競争阻害の恐れがある5地域の市場から撤退することや,Verizon Wirelessが100地域から自主的に撤退することを求めている。

 さらにFCCは,米国の緊急電話番号「911」の正確性確保,全米で通信サービスを平等に利用可能とするための基金「Universal Service Fund」への寄付なども要求している。

 Verizon Wirelessは2008年6月に今回の買収計画を明らかにした(関連記事)。約59億ドルでAlltelの株式を取得し,222億ドルの負債も引き受けるため,取引総額は281億ドルにのぼる見込み。Alltelは米国34州に1300万人以上の加入ユーザーを抱えており,サービス対象地域にはVerizon Wirelessが手がけていない地方57カ所も含まれる。合併により,Verizon Wirelessは米AT&Tを抜いて米国最大の携帯電話事業者となる。

 米司法省(DOJ)は,今回の買収計画について,市場競争を著しく妨げる可能性があるとしてVerizon Communicationsに対し一部資産の売却を要請していた(関連記事)。