写真●ハーモニー CMOの石井研二氏
写真●ハーモニー CMOの石井研二氏
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 2008年11月5日開催の「NET Marketing Forum Fall 2008」の特別セミナーでは「成果を生み出すアクセス解析データの読み方・使い方」と題して,ハーモニー CMOの石井研二氏が講演を行った。

 アクセス解析ツールから得られたデータを読み解くためには,サイトの集客総数に惑わされるべきではないと石井氏は語る。「アクセス解析ツールは閲覧頻度の高いページをフラットに提示してくれる。だが,どのページが見られるべきで,見られなくてもよいのはどれかを,区別して考えるべき。それ以前に最初に考えてほしいのは,だれに来てほしいのかということ。(掲載する情報と,ターゲットである利用者層を)分類,整理することから始めてほしい」と述べ,データ利用の勘所を伝えた。

 また,サイトに訪れた人のユーザー像を把握するのでなく,どのような人が来なかったのか,という点に注目すべきだという。確かに,サイトに誘導したい(が,来なかった)利用者の姿を具体的に想定して,実際に来ている人との属性のズレを洗い出すことができれば,サイト改善のヒントになりそうだ。

 訪問者の数に惑わされるべきではないという考え方は,近年検索サイトの性能が向上し,ターゲット層と全く関わりのないユーザーからのアクセスが増えてしまっていることが背景にある。訪問者数の半数以上がコンバージョンに貢献しない無関係のユーザーであるとして,ROI向上に観点からも狙ったユーザーを効率よく得られるサイト設計が必須だと説明した。

 こうしたターゲットとコンテンツのマッチングをたとえて石井氏は,「求める人が歩いているところに看板を出す。あたりまえだがこれをウェブでやる」と表現する。そのためには単に情報を増やすのでなく,ターゲット層の誘導をじっくり考えた導線設計をする必要があるという。

 導線を設計する際にもアクセス解析のデータが参考になるが,単にアクセスのランキングを確認するのでは不十分だ。アクセスの多いページとそうでないページの関係や,同じカテゴリに属するページに表れた「アクセスの差」についてじっくり考えると答えが隠れていることが多いと説明した。差分を検証する具体的な手法についても触れ,「明日からすぐに取組んでほしい」と参加者に呼びかけた。

 そのほか,導線設計に効果のあるキーワードの検討手法や,コンバージョン・レートとアクセス数を示すデータの読み取り方など実践的な内容を「成長の法則」として解説。さらに,具体的に導線を設計する際に考慮すべき事柄などを,図やデータをもとに説明した。

 こうした取り組みによって一度得られた効果は,取り組みの継続によって持続するものだという。持続可能な体勢を作るために「ちょっとかわいい方法だけど」(石井氏)と断ったうえで,社内でサイト運営担当者による日記を共有し,どのような施策がコンバージョン・レートの向上に繋がったのかを記録してほしいと管理体制の面についても助言した。