写真●カカクコムの安田幹広取締役COO
写真●カカクコムの安田幹広取締役COO
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 2008年11月5日,都内で開催された「NET Marketing Forum Fall 2008」でカカクコムの安田幹広取締役COOが講演,口コミ情報を活用した消費者行動可視化サービス「価格.com Trend Search」β版を紹介した。Trend Searchは,価格比較サイト「価格.com」における消費者の行動を分析して提供するASP型のサービスだ。

 「価格.comには月間1500万人弱の消費者が,価格情報や口コミ情報,製品スペック情報を目当てにやって来る。価格.com上で消費者が入力したり,クリックした履歴はすべて蓄積している」(安田COO)。Trend Searchでは,製品情報への消費者のアクセス履歴や書き込み件数といった定量データだけでなく,消費者が口コミ掲示版に書き込んだメッセージなどのテキスト・データも分析に使うのが特徴。口コミ情報は2008年10月時点で累計800万件に達し,今や価格情報と並ぶ目玉コンテンツになっている。

 「Trend Searchを使えば,企業にとってこれまでブラックボックスになっていた,購買前の消費者の比較検討プロセスが見えるようになる。自社サイトでは分からないライバル製品の動向もつかめる。ユーザー本位のサイト作りをしてきた価格.comにしかできないサービスだ」と安田COOは語る。

 価格.comの口コミ情報を活用する利点として安田COOがまず挙げたのは,「大勢の目にさらされるコンテンツである」という点。口コミ掲示版の月間アクセスは最低8500万PV,それに対し口コミ投稿数は月間15万件という。「口コミ1件あたり,最低5600人に閲覧されていると考えられる」(同)。

 次に挙げたのは,購買行動への影響力の大きさである。1455人のユーザーにアンケートを実施したところ,口コミ情報による影響として,「購入製品を絞り込んだ」人が51.5%,「購入予定を取りやめた」人が45.9%,「予定外の製品が欲しくなった」人が36.9%だったという。影響を受けていない,口コミ掲示版を見たことがない,というユーザーは全体の12%弱だったという。

 なお,別サービスとして,口コミ掲示版に「不具合,故障」といったネガティブな言葉が多数発生したら警告メールを自動送信する,といった機能も開発した。「商品開発だけでなく,リスク管理などにも使って欲しい」と安田COOは,人気家電商品における不具合発生の実例を紹介しながらアピールした。