写真●日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステム事業部 統括マーケティング統括本部企画部の森友子氏
写真●日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステム事業部 統括マーケティング統括本部企画部の森友子氏
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 日本ヒューレット・パッカード(HP)のパーソナルシステム事業部統括マーケティング統括本部企画部の森友子氏(写真)は2008年11月5日,NET Marketing Forum Fall 2008において「HPアドネットワーク広告の活用事例と今後の展開」と題した講演を行った。

 世界のパソコン市場で6四半期連続トップシェアを維持しているHPだが,国内市場は2006年に個人向けパソコン市場に再参入して日が浅いこともあり,第4位に留まっている。そこで,上位を追撃すべく各種ネット広告を展開し,個人向けオンラインストア「HP Directplus」への誘導に力を入れている。

 日本HPのネット広告への取り組みは,2006年から2007年春にかけてのバナー広告の大量出稿から始まる。2007年春以降は検索連動型広告の出稿およびアフィリエイトを導入した。だが,バナー広告はコストがかさみ,CPA(獲得単価)が高くつく。一方,検索連動型広告やアフィリエイトはCPAの効率は高いものの,再参入市場で存在を広くアピールするのは難しい。

 こうしたジレンマを解消するため,同社が2007年秋から導入しているのが,「アドネットワーク」だ。アドネットワークに所属する広告媒体サイトでバナーが表示されてから一定期間内にユーザーがDirectplusで購入に至ると成約とみなし,売り上げにつながりやすい媒体サイトに広告出稿を絞り込んでいく仕組みだ。アドネットワークの導入により,「コンバージョン率(サイト来訪者のうち購入に至った割合)は2~3倍増。インプレッション(バナー表示回数)を一定のまま広告効果の高い媒体に絞り込むことでCPAを40%ほど下げることができた」(森氏)。

 HPの取り組みはネット上だけの誘導にとどまらない。画面タッチで操作できる「TouchSmart」を発売した2008年7月には,テレビCMからWebへの誘導を高めるクロスメディア型広告に取り組んだ。テレビCMで「HP」で検索するように促し,実際にヤフーで検索すると,テレビCMと同様のフラッシュバナー動画が再生されるもので,「誘導先ページのページビューが倍増した」(森氏)。

 また,店頭ではタッチキャンペーンを展開。プレゼント応募をケータイ経由にすることでアンケート回収率を高め,キャンペーン後の販売増加に成功した。森氏は,「ネット広告の効果を高めながら,オフラインとの連携を強化して新しい層を開拓していきたい」と抱負を語って締めくくった。