写真1●米GXS国際営業担当上級副社長のジョセフ・キング氏
写真1●米GXS国際営業担当上級副社長のジョセフ・キング氏
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写真2●米GXS製品企画担当副社長のアンドレア・ブロディー氏
写真2●米GXS製品企画担当副社長のアンドレア・ブロディー氏
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 企業間取引向けサービスを提供するGXS日本法人は2008年11月5日、大容量ファイル転送サービス「Managed File Transfer(MFT)」をSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供すると発表した。CADデータやPOSデータといった企業にとって重要で、かつ大容量のデータを機密性が高い状態で取引先などと交換するといった用途を想定している。通常のファイル転送に比べ、ファイルを転送する際のセキュリティの保証やエラー時の処理といった保守サービスを強化したのが特徴だ。

 GXS米国本社で国際営業担当上級副社長を務めるジョセフ・キング氏(写真1)はMFTについて、「顧客からの強い要望で追加した機能。クライアントに特別なソフトを導入することなく利用できる」と説明する。MFTの費用は「転送するデータ容量に応じて決まる。米国ではギガバイト当たり300ドルからで、顧客ごとに相談して料金を決める」と米GXS製品企画担当副社長のアンドレア・ブロディー氏(写真2)は話す。

 GXSはEDI(電子データ交換)サービスや、企業間でデータを共有するためのアプリケーションをSaaSとして提供している。企業間で異なるマスターデータを利用している場合のデータのマッピングや、取引データのレポーティングといった機能だ。キング氏は「30カ国、21言語以上でサービスを提供している」と説明する。独SAPや米オラクルのERP(統合基幹業務システム)パッケージ向けのアダプタを事前に用意し「企業内の基幹系システムとの連携も容易にしている」(ブロディー氏)という。

 GXSが提供する企業間取引サービスで注目を集めているのが、「保守部品の配送や在庫の状況を可視化するサービス」とブロディー氏は説明する。サービス名は「GXS Trading Grid Logistics Visibility」。保守部品を提供するメーカーと配送する輸送企業などを結び、保守部品の輸送状況の追跡したり、輸送ルートをシミュレーションして到着時刻を予測する機能などを備える。「保守部品の輸送方法は多岐にわたる。予定通りに顧客に部品が届かず、再度緊急に配送するといった手間がかかるケースが多い」とブロディー氏は指摘する。

 日本ではLogistics Visibilityをヤンマーが採用している。100社以上の輸送企業と保守備品の配送状況のデータを交換し、グローバルで保守部品の配送状況を可視化しているという。08年7月にアジア地域、10月に米国で稼働。09年2月には欧州で稼働予定だ。

 キング氏は「我々の強みはSaaSとしてアプリケーションを提供していること」と強調。「経済状況が厳しい今、自社でシステムを構築するのではなく、サービスを利用することでITへの投資コストを抑えられる」(キング氏)からだ。ファイル転送にMFTを利用した場合、同様のシステムを構築したケースと比較して「20%程度の業務削減効果が得られる」(ブロディー氏)という。