日立製作所は2008年10月30日、2008年4月-9月期連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.6%増の5兆3105億円、営業利益は同62.0%増の1970億円で増収増益だった。前年同期は赤字だったハードディスクドライブ(HDD)事業の黒字化が、大幅な増益を支えた。

 コンピュータのハード/ソフトやシステムインテグレーション(SI)を扱う情報通信システム部門については、売上高が前年同期比2%増の1兆2817億円。営業利益は同479%増の721億円で、ソフトウエア/サービス、ハードウエア共に増収増益だった。特にハードは、前年は253億円の営業赤字だったが、HDDの影響で259億円の営業黒字となった。

 HDD事業を担う日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)の収益改善について日立の中村豊明執行役専務は「ヘッドやメディアを中心に大幅な原価低減に成功したことと、競争力のある製品をタイムリーに市場に投入できたことが要因」と語った。HGSTは12月期決算のため、今回の連結決算にはHGSTの1月-6月期の売り上げを計上している。HGSTは7月-9月期についても黒字になっており、これで4四半期連続の黒字となる。

 ソフト/サービスでは金融機関向けのSIが売り上げを伸ばした。「アウトソーシング事業やコンサルティング事業も増収だった」(中村専務)。

 その他の部門は発電所や鉄道車両、エレベータなどの電力・産業システム部門が増収だったが、電子デバイス部門、デジタルメディア・民生機器部門など残るすべての部門が減収だった。

 日立は今回、2009年3月期の通期の業績予想を修正した。11兆1000億円としていた売上高を、前年同期比2.9%減の10兆9000億円に、3800億円としていた営業利益は同18.7%増の4100億円にそれぞれ修正。売上高を下方修正した理由は「欧米経済や中国経済の減速や、円高などが懸念されるため」(中村専務)。予想通り減収になれば、2001年度以来7年ぶりだ。 営業利益を上方修正するのは、HDDやSIの中間期の営業利益が予想から上振れしたため。