写真1●プリンシパルリサーチャーのフェン・ツァオ氏<br>手にしているのは基調講演会場に設置したセンサーである
写真1●プリンシパルリサーチャーのフェン・ツァオ氏<br>手にしているのは基調講演会場に設置したセンサーである
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写真2●基調講演会場内の熱分布&lt;br&gt;ステージに近い部分の温度が上がっている様子がわかる
写真2●基調講演会場内の熱分布<br>ステージに近い部分の温度が上がっている様子がわかる
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写真3●マイクロソフトのデータセンターで運用するサーバーラックの熱分布
写真3●マイクロソフトのデータセンターで運用するサーバーラックの熱分布
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 PDC 2008第三日の基調講演では、マイクロソフトの研究者がデータセンター省電力化に向けたセンサーネットワークの研究を披露した。サーバーが発する熱やデータセンター全体の熱分布を動的に検知して、効率的に冷却するための研究である。

 研究を担当するフェン・ツァオ プリンシパルリサーチャーはまず、基調講演のホール天井に90個のセンサーを設置しておいたことを明らかにした(写真1)。そして初日から計測し続けてきた温度と湿度の分布を披露した(写真2)。「基調講演が始まる前は冷房が効いて温度が低いが、講演の途中でステージ前方からどんどん温度が高くなっている。ちょうどWindows Azureなど、エキサイティングな発表がなされていた時間帯だ」(ツァオ氏)と、その変化の様子をグラフィカルに表示して観客を沸かせた。

 このようなデモを披露したのは、データセンターの熱分布を詳細に可視化することの重要性を示すためだという。例えば同社が実際に運用しているデータセンターでは、サーバーを搭載したラックの前後面の熱分布を図示して冷却効率向上に役立てている(写真3)。サーバーの処理負荷や熱の詳細な分布が知ることで、ダイナミックに冷却システムを制御できる」(ツァオ氏)。

 同社はデータセンターの省電力化に向けた一連の取り組みを「データセンター・ゲノム・プロジェクト」と呼んでいる。「クラウドコンピューティングの基盤作りに極めて重要な取り組みだ。世界一の消費電力効率を誇るデータセンターを作る」(ツァオ氏)。