写真●富士通の加藤和彦 経営執行役上席常務CFO(最高財務責任者)
写真●富士通の加藤和彦 経営執行役上席常務CFO(最高財務責任者)
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 富士通は2008年10月29日、2008年4月-9月期連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.4%減の2兆4537億円、営業利益は同12.3%減の385億円で減収減益だった。国内のシステムインテグレーション事業は公共、金融など各分野で売り上げ、利益とも伸ばしたが、LSIや電子部品、パソコン、携帯電話など多くの分野が減収減益となったことが影響した。

 同社の事業セグメントの中で最も大きな売り上げを占める「テクノロジーソリューション」は、売上高が前年同期比1.2%増の1兆5249億円、営業利益は同48.1%増の573億円で増収増益。同セグメントは、システム開発やアウトソーシングなどの「サービス」と、ハードウエアやミドルウエアなどの「システムプラットフォーム」で構成する。

 それぞれを見ると、「サービス」の売上高は同1.2%増の1兆2041億円、営業利益は同6.5%増の512億円。国内では公共、流通、金融などでSIビジネスが伸長し、アウトソーシングサービスも増収となったことで、海外ビジネスの減収を補った。

 「システムプラットフォーム」は、売上高が同1.1%増の3207億円、営業損益は前年から155億円増の61億円だった。国内ではキャリア向けルーター装置やサーバー関連、携帯電話基地局が売り上げを伸ばし13.0%の増収だった。一方で海外は18.9%の減収となったがこれについて富士通の加藤和彦 経営執行役上席常務CFO(最高財務責任者)は「昨年はUNIXサーバーPRIMEPOWERの販売終了をアナウンスしたところ、買い置きを望むユーザーが多く特需のような状況になった。これがなくなったことが大きな要因」と話した。

 携帯電話やパソコンなどの「ユビキタスプロダクトソリューション」の売上高は同9.3%減の5214億円、営業利益は同59.3%減の88億円だった。携帯電話について加藤CFOは「一般消費者向けのヒット商品が出なかったことが減収に影響した」と語った。法人向けについては「携帯電話をアプリケーションを含めたソリューションで売っていこうという路線は変わらないが、少し手を広げすぎた状態になっている。今後はスリム化していく」(加藤CFO)とした。パソコンについても、欧州を中心に低価格パソコンを販売する他ベンダーとの競争が激化した影響で売り上げを落とした。

 半導体や電子部品などの「デバイスソリューション」は、売上高が同11.8%減の3509億円、営業損益は73億円の赤字で前年同期から134億円減少した。岩手・宮城内陸地震により工場の操業が一時停止したことなどが、営業赤字の要因になった。

 2008年度通期の連結業績見通しは7月の発表から大きく修正した。富士通は前年比0.4%増の5兆3500億円としていた売上高を今回、同5.3%減の5兆500億円に、同7.3%増の2200億円としていた営業利益は同26.8%減の1500億円にそれぞれ下方修正した。

 2009年3月期は富士通の3カ年の中期計画の2年目に当たる。今回下方修正した業績予想では2009年3月期の売上高利益率が約3%になり、目標としていた2010年3月期の利益率5%の達成は非常に難しい状況となった。加藤CFOは「今のユビキタス、デバイスの両ソリューションの状況では中期目標の達成は難しい」と目標未達の可能性が極めて高いことを認めた。