写真1●NECの山口琢也医療ソリューション事業部長
写真1●NECの山口琢也医療ソリューション事業部長
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写真2●NTTデータの富田茂医療福祉事業部長
写真2●NTTデータの富田茂医療福祉事業部長
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 NTTデータとNECは2008年10月27日、診療報酬明細書(レセプト)をオンライン請求するためのサービス事業で協業すると発表した。NECがNTTデータのネットワーク基盤を利用する「NECレセプトオンライン接続ワンストップサービス」を商品化し、主に400床未満の病院や調剤薬局を対象に同日から販売する。オンライン請求に必要な通信回線や接続機器、パソコンのセットアップ・サービスなどを提供して、中小病院や調剤薬局の負担の軽減を狙う。

 NECレセプトオンライン接続ワンストップサービスは、VPN(仮想私設網)接続を行うためのルーター、インターネット回線の「BIGLOBEオフィス光withフレッツ」、パソコンや訪問サポートをセットにしたもの。NTTデータが9月から提供している、暗号化技術のIPsecとIKEを使ってインターネットVPN接続を可能にするルーターを利用する。NTTデータは、暗号化技術を使ったインターネット通信で安全性適合性評価を受けている4社のうちの1社である(ほかはNTT PCコミュニケーションズ、富士通、三菱電機情報ネットワークの3社)。

 価格はレセプトオンライン接続サービスの初期費用が1万5750円。利用料は1995円(月額)。ルーターのレンタル料は5年レンタルで630円(同)、3年レンタルで840円(同)、買い取りの場合は3万1500円。インターネット回線の基本使用料は3875円から。同サービスで使うパソコンはレンタル/リースで5250円(同)、買い取りの場合16万8000円から。

 NECの山口琢也 医療ソリューション事業部長は「3年間で60億円の売り上げ、暗号化技術を使ったインターネット通信サービス市場で30%のシェア1位を目指す」と語る(写真1)。NTTデータの富田茂 医療福祉事業部長は「USBメモリーを使ってVPN環境を構築する同種のサービスはあるが、ルーターを提供するのは当社だけ。ルーターは最大16サービスまで拡張でき、将来は電子カルテのデータを連携させた地域医療連携などに応用できる」と説明する(写真2)。

 08年度からレセプトのオンライン請求が段階的に義務づけられている。08年4月から、まず400床以上の病院がオンライン請求の対象となった。09年4月からは、400床未満の病院と調剤薬局も対象になる。09年に対象となる医療機関はおよそ4万施設となる見通しだが、該当機関のオンライン請求の実施率は9月30日時点で約10%にとどまっている。11年度(12年3月)までに少数の例外を除く医療機関、13年度(14年3月)までにすべての医療機関にオンライン請求が義務づけられる。

■変更履歴
NEC山口琢也氏とNTTデータ富田茂氏の写真が間違っていました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/10/28 08:55]