総務省は2008年10月27日,「ITS無線通信システムの高度化に関する研究会」を開催すると発表した(発表資料)。第1回会合は10月29日に予定する。

 ITS(道路交通情報通信システム)のインフラの一つとして,車載機と路側機(道路に設置した通信システム)が通信する路車間通信と,車載通信機同士が直接通信する車車間通信がある。車車間通信は,例えば衝突防止システムへの用途が想定されている。車車間通信については,2011年7月にアナログ放送が終了したあと,放送チャンネルのリパックによって2012年に空くUHF帯の700MHz帯の一部が利用できる周波数の一つとして想定されている。この700MHz帯のUHFはGHz帯を利用する場合に比べて回り込みが大きい。このため,路側機がなくても,見通しのきかない交差点における出会い頭の衝突防止に利用できる,という効果が期待されている。

 総務大臣の諮問機関である情報通信審議会に設置された「電波有効利用方策委員会」は2006年,このUHF帯を利用した車車間通信に10MHzを割り当てる方向性を示している。さらに,ガードバンドとして利用帯域の前後に合計で,最大10MHzを用意している。

 今回の研究会では,(1)ITS安全運転支援無線システムの利用イメージ,(2)車車間通信に求められる無線システムの機能と要求条件,(3)車車間通信実現に向けた課題およに推進方策--を協議する。この研究会には,警察庁や経済産業省,国土交通省もオブザーバとして参加する。