写真1●NTTドコモが2008年10月23日に開催した法人営業の説明会。同社の方針と最新のユーザー事例を紹介した。
写真1●NTTドコモが2008年10月23日に開催した法人営業の説明会。同社の方針と最新のユーザー事例を紹介した。
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写真2●携帯電話利用のアルコールチェックシステムを実演。アルコールは飲用ではなく薬用で代用。
写真2●携帯電話利用のアルコールチェックシステムを実演。アルコールは飲用ではなく薬用で代用。
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 NTTドコモは2008年10月23日,モバイルの法人活用に関する説明会を開催した(写真1)。紹介の機会が少ない法人向けのソリューションへの取り組みをPRするのが狙いという。

 最初に「法人営業の取り組み」というテーマで,法人ビジネス戦略部長の三木茂氏が最近の動向を紹介した。三木氏は,「KDDIが“Business au!”,ソフトバンクモバイルが“ビジネスに効くSoftBankのケータイ”をうたっているのに,NTTドコモには同等なキャッチフレーズがなかった」と,最近打ち出したコピー“Mobile driven Solutions ドコモでビジネスが加速する”の導入背景を説明した。

 三木氏は法人向けの取り組みを,企業が自社の中核事業を強化するための「B to B(ビジネス利用)」と新規事業を創出するための「B to B to C(消費者向けサービスへの活用)」「オペレーションビジネス」に分類する。

 B to Bには,スマートフォンやモバイルセントレックスの活用,遠隔からの端末管理といったセキュリティ,配送管理や遠隔監視などの組み込み機器が含まれる。B to B to Cは,電子クーポンを活用した会員囲み込みや端末にひも付けられる個人の属性を生かしたマーケティング,モバイル活用の健康指導などが挙げられる。オペレーションビジネスには,端末やサーバーの保守・運用といったアフターサポート,システム管理などが含まれる。

 三木氏は,B to B型ソリューションについては「これまで力を入れてきた」が,B to B to C型については「今後伸ばしていかないといけない分野」,オペレーション分野は「これから大きな柱になる分野」だと表現した。

ある金融機関は携帯電話の通話をすべて録音

 続いて,第一法人営業部長の真藤務氏が最近の導入事例を紹介した。例えば,ある金融機関は,携帯電話の通話をすべて録音しているという。日本版SOX法(J-SOX)により,不正取引防止のため証跡義務が生じたためだ。発信者の電話番号が,通話内容とともに記録されるシステムを導入した。NTTドコモによると,携帯電話を使う録音ソリューションは「日本で初めて」という。問い合わせ時に即座に内容が確認できるように,音声を自動的にテキスト・データに変換することも検討しているとした。

 このほか,横浜銀行は携帯電話利用の営業日報を検証中という。パソコン向け営業日報入力システムに強いインテックと共同で,携帯電話から入力できる営業日報入力システムを開発した。「コンプライアンス対応で本来の営業業務に割ける時間が少なくなっている」という銀行向けに提案する。端末には,ビジネス向けに開発した「F905iBiz」を利用している。

 B to B to C型の導入例の一つとして,ICカード機能を内蔵した「おサイフケータイ」の活用を取り上げた。おサイフケータイが本人を識別するIDとなり,マンションの集合玄関の入館IDや部屋の鍵,自販機,宅配ボックスなどに利用できる。三井不動産レジデンシャルが販売するマンション「パークコート麻布十番ザ タワー」には,おサイフケータイの採用が決まっているという。

 説明会の最後に,携帯電話のテレビ電話機能とセンサを活用した「アルコールチェックシステム」などモバイル・ソリューションの活用例を実演した(写真2)。アルコールチェックシステムは,飲酒運転を防止する目的でバス会社などが活用している。テレビ電話で本人確認をしながら,運転前に呼気中のアルコールを測定する。