写真●宮田靖 執行役員ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長
写真●宮田靖 執行役員ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長
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 SAS Institute Japanは2008年10月23日、製造業向けBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの新製品を発表した。生産、販売、在庫の計画立案などを支援する「Demand Driven Forecasting」と、生産工程および販売後の製品品質を管理する「Quality Lifecycle Analysis」の2製品で、同日付で提供を開始した。

 SASの宮田靖 執行役員ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長は「一時期SCM(サプライチェーンマネジメント)の導入がブームになったが、導入後に飛躍的に業績を上げたという話はあまり聞かない」と指摘し、「SCMを使って本当にサプライチェーンを管理するにはきちんとした需要予測と、それを基にした適切な販売計画の立案が必要だ。今回発表したのはそのための製品」と続けた。

 Demand Driven Forecastingでは、まず需要予測のシミュレーションに基づき販売計画を策定し、在庫計画や生産計画をこれに連動させる形で決定する。同社ビジネス開発本部SCIビジネス開発部の米田慎一氏は「生販財のサイクルを回せば回すほどデータが集まり、需要予測の精度が上がっていく」と話す。需要予測は、システムがあらかじめ持っている予測モデルの中から最適なモデルを自動で選択して実施する。必要なデータについても、需要実績のほか立地や気温など需要に影響を与えるデータを自動で取り込む。

 計画立案の頻度を高めるのも特徴の一つ。米田氏は「製造業では一般的に月次で販売計画を立てているケースが多い。Demand Driven Forecastingはデータ処理のスピードが早いため、週次・日次で販売計画を立てることができる。在庫の調整量なども、そのときの状況に即した形で決定できる」と話す。

 Quality Lifecycle Analysisは製造段階および出荷後の製品の品質情報を一元管理し、品質保証コストを削減するための製品。歩留まりが下がるとアラートを出して問題改善を促すなどの機能がある。「製造段階での不良品が多すぎるなどの問題に早い段階で気づくことができる。必要な対策を講じることで、出荷してしまった後に製品を修理してコストが増えてしまうといった事態を防げる」(米田氏)。

 従来、これらの機能を利用したいとユーザーが望む場合は、「SAS製品には対応するものがなかったため、その都度スクラッチで開発して対応していた」(米田氏)。今回、パッケージ製品として提供することで、導入期間やコストを大幅に短縮できるという。

 価格はDemand Driven Forecastingが2500万円、Quality Lifecycle Analysisが2200万。両製品の価格は「Data Integration Server」などBIに必要なSASの既存プロダクトをすべて含んだものとなっている。そのため、「既存のSASのBI製品ユーザーには価格設定を変えるなどの対応を採っていく」(宮田本部長)という。目標については「年内にそれぞれ2社への導入を、来年にはそれぞれ10社への導入を目指す」(同)とする。