写真1●コミューチュアが発売するモバイル無線LANルーター「PHS300 Mobile WiFi AccessPoint」
写真1●コミューチュアが発売するモバイル無線LANルーター「PHS300 Mobile WiFi AccessPoint」
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 コミューチュアは2008年10月23日、持ち歩ける無線LANルーター「PHS300 Mobile WiFi AccessPoint」(PHS300)を発売する(写真1)。電池で動作し、携帯電話の電波が届く場所であればどこでも無線LANアクセスを可能にする(関連記事)。当初は8月末に発売する予定だったが2カ月遅れの登場となった。

 PHS300は米クレードルポイント・テクノロジーズ製のIEEE 802.11b/gに準拠した無線LANルーター。WAN回線への接続口にUSBポートを搭載する。第3世代携帯電話(3G)対応の携帯電話やモデムをこのポートにつなげてインターネットに接続する。

写真2●本体側面に電源スイッチ、ACアダプタ接続口、USBポートを搭載
写真2●本体側面に電源スイッチ、ACアダプタ接続口、USBポートを搭載
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 サイズは122×73×18.5mm、重さは250g。ポケットに入れるにはやや大きいが、カバンに入れて邪魔になる大きさではない。本体には電源切り替え専用のハードスイッチを用意。スイッチをオンにするだけで、PHS300の周囲一体が無線LANスポットになる(写真2)。移動中や外出先で、米アップルの携帯音楽プレーヤ「iPod touch」や携帯ゲーム機などでインターネット接続する用途に向きそうだ。

 コミューチュアが運営するWeb上のショッピングサイトで10月23日から予約を受け付け、11月初旬に商品の発送を開始する。価格は1万9800円。送料735円と代金引換手数料420円が別途必要になる。まずは個人向けに販売するが、法人向けの販売も検討する。「自動車をオフィスにしたいなど法人固有のニーズもあるだろう」(コミューチュアPHS-300サポート窓口の川野清氏)。

 発売が2カ月遅れたことについて、川野氏は「電気通信事業法や電波法、電気用品安全法などにかかわる各種の認証制度をクリアするため、開発元とのやり取りに時間がかかっていた」と説明する。10月にすべての認証を取得。日本国内で販売できる準備が整った。

無線LAN搭載端末でどこでもインターネット接続

 今回、PHS300をコミューチュアから借り、様々な端末を接続して使い勝手を検証した。利用した端末はパソコン(パナソニックのLet’s Note W4)、アップルのiPod touchと携帯電話機「iPhone」、任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」、ソニーの携帯ゲーム機「PSP」、携帯コミュニケーション端末「mylo」、ウィルコムのスマートフォン「WILLCOM 03」の7機種(写真3)。インターネット接続する3Gデータ通信モデムにはイー・モバイルの「D02HW」を利用した(写真4)。

写真3●PHS300によるインターネット接続を検証した端末
写真3●PHS300によるインターネット接続を検証した端末
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写真4●イー・モバイルのUSB型3Gデータ通信モデム「D02HW」をPHS300に接続
写真4●イー・モバイルのUSB型3Gデータ通信モデム「D02HW」をPHS300に接続
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 その結果、すべての端末で問題なくインターネットに接続できることが確認できた。通信速度は3Gデータ通信の接続状況に依存する。場所や時間によるが300kビット/秒~2Mビット/秒と“遅めのADSL”程度の速度で通信できた。

 無線LAN接続の安定性はおおむね良好。電波が弱いのか、たまに速度が低下したが、無線LAN側が通信速度のボトルネックとなることはなかった。無線LAN接続が突然切れる現象は、利用した範囲ではなかった。メールやWeb閲覧では特に不満を感じることなく利用できる。ただし、時間帯や場所によって3Gデータ通信の通信速度が不安定になることはあった。

 myloを使ってIP電話「Skype」で通話したが、特に問題は感じなかった。SkypeOutを利用した一般の電話への発信でも、音声が途切れることなく利用できた。今回は検証しなかったが、ほかのIP電話ソフトでも問題なく通話できるだろう。

 動画閲覧では、不安定な3Gデータ通信が通信速度のボトルネックとなってストリーミング再生はやや厳しい。端末にデータをため込みながら再生する「YouTube」のような動画投稿サイトなら快適に視聴できた。

 iPhoneでは外出先でiTunesから楽曲をダウンロードできた。iPhoneは3Gデータ通信機能を搭載しているが、iTunesでの楽曲ダウンロードは無線LAN接続時にしかできない。PHS300と併用すれば、いつでもどこでも楽曲ダウンロードが可能になる。

 難点は電池の持ち時間だ。頻繁にデータをやり取りする使い方をしていると、2時間もしないうちに電池が切れてしまう。必要な時だけ電源を入れるような使い方にしておくのが賢明だろう。どうしても外出中に常時接続したいユーザーは、予備バッテリーや外部バッテリーを別途用意したほうがよい。