写真1●KDDIの小野寺正社長兼会長
写真1●KDDIの小野寺正社長兼会長
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●2010年度に固定系事業を黒字化するとした
写真2●2010年度に固定系事業を黒字化するとした
[画像のクリックで拡大表示]

 KDDIは2008年10月22日,2009年3月期上期(2008年4月1日~9月30日)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.8%増の1兆7473億円,営業利益は同5.3%増の2629億円だった。営業利益の通期見通し(4430億円)に対する進ちょく率は59.3%と順調に推移した。

 セグメント別では移動通信事業の売上高が前年同期比1.5%減の1兆3607億円,営業利益が同5.3%増の2879億円と減収増益だった。固定通信事業はセグメント範囲を今期から見直した影響もあり,売上高が同19.3%増の4231億円,営業損益が252億円の赤字となった。

 質疑応答では,端末販売の減少についての質問が相次いだ。今年度上期のKDDIの端末販売台数は556万台。前年同期の761万台と比べて,3割弱も減少したことになる。同社の小野寺正社長兼会長(写真1)は,「KDDIとしては,あくまで販売台数を増やす施策をとっていきたい。ユーザーに受け入れてもらえるような端末とサービスを合わせて出していくことが最大のポイントになる。しかし,どうやっても前年度からの販売台数の減少は避けられない」と語った。

通期1440万台の端末販売目標は見直さず

 同社の通期の端末販売目標は1440万台。目標を達成するには,下期で900万台近くを販売しなければならない。小野寺社長は「(1440万台の)数字は見直さない。この程度売らなければ端末メーカーも苦しくなるので,我々にとっての目標数字でもある。しかるべきタイミングで,市場を活性化させるような営業戦略を展開してきたい」と説明した。

 端末の販売減少は,移動通信事業の減収にもつながっている。「端末販売台数の減少とARPU(1契約当たりの月間平均収入)の減少が減収の要因。かつては音声ARPUの減少を端末の純増数でカバーしていたが,販売減少でカバーしきれなくなっている。ARPUを伸ばすためには,新しいアプリケーションやサービスの導入が必要。新サービスは新端末とセットで考えているため,端末を出していく必要がある」(小野寺社長)。

固定系事業は2010年度に黒字化を目指す

 会見では,赤字が続く固定系事業を2010年度には黒字化する方針も明らかにした。赤字の主な要因となっているFTTH事業の損益を改善し,法人系事業やケーブルプラス電話などその他の事業の利益を伸ばすことで,トータルで2010年度に黒字化するとした(写真2)。