写真●日本IBMシステムz事業部の朝海孝事業部長
写真●日本IBMシステムz事業部の朝海孝事業部長
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 日本IBMは2008年10月22日、メインフレームの中位機「IBM System z10 Business Class(BC)」を発表した。性能は3世代前の最上位機「z900」と同等で、x86サーバーであれば200台分を集約できるレベルという。価格は2600万円からで、10月28日に出荷を開始する。

 z10 BCは2008年2月に発表した上位機「z10 Enterprise Class(EC)」と同様に、独自アーキテクチャのクアッド・コア・プロセサ「Enterprise Quad Core z10」を搭載する。ただし、z10 ECと比べて半分以下の体積であるきょう体に合わせて、動作周波数をz10 ECの4.4GHzから3.5GHzに引き下げ、4個あるプロセサコアの内の1個を常にオフにすることで消費電力を抑えた。

 プロセサボードは4枚搭載。各プロセサで3個のプロセサコアが動作するため、プロセサコアの総個数は12個になる。そのうち2個のコアをI/O処理専用に使用するため、日本IBMはz10 BCが搭載する最大プロセサ数を「10個」としている。

 日本IBMは、z10 BCのプロセサコア1個でx86サーバー20台分の処理が可能であると説明する。10個のプロセサコアなら200台分の処理が可能という主張だ。1秒当たりの命令処理回数は最大2760MIPSとなる。システムz事業部の朝海孝事業部長(写真)は「z10 BCの最大メモリー容量は当初128Gバイトだった。それを最終的に256Gバイトまで拡張したのは、メインフレームを使って大量のx86サーバーを集約したいという日本からのニーズに合わせたため」と語る。

 なお従来の中位機「z9 BC」の仕様は、プロセサの動作周波数が1.4GHz、最大プロセサ数が8個で、最大メモリー容量は64Gバイト、1秒当たりの命令処理回数は最大1785MIPSだった。今回発表したz10 BCは従来機に比べて1.5倍の性能向上を果たし、同社が2000年に発表した3世代前のメインフレーム最上位機「z900」に匹敵する性能を持つに至った。

 同社はメインフレームを「キャパシティ・オン・デマンド」方式で販売する。ハードウエア本体の価格は100種類以上に分けているが、ユーザー企業に納入するハードウエアの仕様はすべて同じ。ユーザー企業が支払った金額の多寡によって使用できるリソースのキャパシティ(プロセサコア数など)が変わるのだ。2600万円という最低価格は、利用できるキャパシティが最小限に制限された場合の価格となる。契約時よりも多くのキャパシティを使用した場合、後から料金を日単位で支払う。

 日本IBMは今回、z10 BCの発表に合わせて「プリペイド」での支払いプランも用意した。ユーザー企業が日本IBMから事前に、キャパシティの使用権を購入するというものだ。朝海氏はプリペイド方式導入の理由を、「ユーザー企業の予算上の都合に細かく応じるため」と説明する。