日本レコード協会は2008年10月21日,権利者に無断で携帯電話機向け音楽ファイルを送信可能な状態にしていた兵庫県姫路市と同県川西市に住む男性2人を,京都府警察本部と八幡警察署,下鴨警察署が著作権法の著作隣接権侵害容疑で同日に逮捕したと発表した(発表資料)。

 姫路市在住の男性は,「着うた」や「着うたフル」などを模した音楽ファイルを無料でダウンロードできる携帯電話サイトを開設し,レコード協会の会員企業である3社(ドリーミュージックとソニー・ミュージックレコーズ,エイベックス・エンタテインメント)が権利を持つ音楽ファイルを無断でアップロードして,不特定多数がダウンロードできる状態にしていた。川西市在住の男性は姫路市在住の男性と共謀し,ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルが権利を持つ音楽ファイルを同サイトに無断でアップロードして,ダウンロードできる状態にしていた。レコード協会は,「このサイトは,ユーザー数が約100万人を超える日本最大規模の違法音楽配信サイトと考えられている。今回の摘発の対象となった音楽ファイルはいずれも着うたフルを模したもので,着うたフルが対象となった刑事事件は今回が初めて」としている。

 携帯電話機向け音楽配信サービスの市場規模は2007年で約680億円に成長しており,音楽産業の新たな柱の一つとなりつつある。そのうち,着うたフルの市場規模は2007年に約344億円に達した。一方で違法行為も急増しており,レコード協会の調査によると携帯電話機向けの違法な音楽ファイルの年間ダウンロード数は3億9900万に上るという。

 レコード協会と会員企業は,権利者に無断で携帯電話向けにアップロードされている音楽ファイルの削除要請を実施しており,その数は2008年9月末時点で約20万件を超えた。レコード協会は今後も会員企業と共に,違法音楽配信サービスへの対策を強化する。さらに警察や他団体と連携して,音楽配信市場の健全な発展と著作権などの侵害行為の撲滅に取り組む方針である。