文化庁・文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」は,2008年10月20日に第4回会合を開催した。今回の会合では,事務局を務める長官官房著作権課が2008年度の報告書の骨子案を示し,委員が事務局案を了承した。事務局は今年度の報告書を,「2009年1月上旬までに取りまとめたい」としている。報告書の骨子案では私的録音・録画補償金制度の見直しについて,これまでの検討状況を整理するだけにとどめ,新たな補償金制度の具体的な形は盛り込まなかった。これにより,補償金制度の見直しは2009年度以降の課題として先送りされることが事実上決まった。

 骨子案によると,報告書は三つの章で構成される。第1章では,補償金制度の見直しに関する検討状況をまとめる。これまでの会合で出た意見や制度設計案などを踏まえ,(1)著作権法第30条(補償金制度に関する記述を含む項目)の将来像の考え方やこれに関する検討状況,(2)現時点における著作権保護技術と補償の必要性,補償金制度の具体的制度設計案,(3)補償金制度の見直し案に関する関係者からの意見――を盛り込む。

 第2章では,著作権法第30条の範囲の見直しについての検討結果を整理する。違法録音録画物(海賊版ソフトなど)および違法配信サイトからの私的録音・録画や,適法配信事業者から入手した録音・録画物からの私的録音・録画についての対応策をそれぞれまとめる。対応策は,小委員会が2007年10月に取りまとめた「中間整理」の意見募集の結果や,これまでの論点整理の内容を踏まえたものになる。さらに第3章では,今後の議論の進め方をまとめる。2008年度の小委員会での検討結果を総括して,私的録音・録画問題の解決に向けた対応方法などを盛り込む。