米電子フロンティア財団(EFF)は,国際機密情報監視法(Foreign Intelligence Surveillance Act:FISA)の改正法案(FISA Amendments Act:FAA)を取り下げるよう申し立てを行った。FAAは,政府の監視活動に協力した電気通信会社の盗聴行為を免責するというもの。

 EFFが米国時間2008年10月16日にサンフランシスコの連邦地方裁判所に提出した書類では,FAAは米国憲法で定める三権分立に違反し,正当な手続きを踏まずに罪のない消費者から権利をはく奪するようなものだと抗議している。

 FAAは,既に大統領が施行に向けて署名している。これまでのFISAでは,電気通信会社が通信傍受に協力するには裁判所の令状が必要だったが,FAAの可決により令状無しでも盗聴を行うことが合法となった。

 EFFの弁護士であるKevin Bankston氏は,「米AT&Tなどの電気通信会社に盗聴を求めるかどうかは司法長官の判断にゆだねられることになる。米国の憲法ではその判断は裁判所の役割であり,行政官ではない」と述べ,「多数の米国民のプライバシが侵される」と批判した。

 国内電気通信会社による通信傍受に関しては,AT&Tが米国家安全保障局(NSA)の極秘監視プログラムに協力し,自社のネットワークを経由する電話通話と電子メールに直接アクセスできる手段を密かにNSAへ提供したとして,EFFが2006年に集団代表訴訟を起こしている(関連記事:EFF「米AT&TがNSAに通信傍受用の部屋を提供」の証拠が公開へ)。

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