写真●富士通が参考出展した小型プローブ。親指大程度で,イーサネット・ポートから電源供給を受けられるほどの小型化することを想定している
写真●富士通が参考出展した小型プローブ。親指大程度で,イーサネット・ポートから電源供給を受けられるほどの小型化することを想定している
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 富士通は,同社のネットワーク運用管理・品質管理ソリューション「ProactnesII」と連携する小型のネットワーク・プローブを参考出展している(写真)。

 この装置複数台をネットワークの各所に設置することで,ネットワーク内でパフォーマンスが低化しているリンクやノードを検知することができるという。パケット・ロスや転送遅延など,ルーターやスイッチから取得する情報だけでは検出できない“サイレント障害”に対して,素早くボトルネックを特定し,障害を切り分けられるのが利点だとしている。

 仕組みは,(1)サーバーからの指示に応じてプローブ同士が相互にPingを飛ばし合い,(2)複数の通信経路の転送時間やパケット・ロスの状態を把握,(3)それらをサーバー側に集約して,ネットワーク・トポロジの中の品質劣化地点を特定する,というものだ。

 サーバーからプローブに対しては,一括して測定データの送出条件を指示することができる。イーサネットのフレーム長や,優先制御に使うCoSフィールドの値なども変更できるため,特定のアプリケーションだけが品質劣化を起こしている場合などにも対応できるという。将来はPingだけでなく,HTTPやSIPによる呼設定といった,アプリケーションの運用状態に近い状況での計測を行うことも検討している。

 ProactnesIIシリーズでは,ネットワークのある地点を通過するパケットをすべてキャプチャーするパッシブ方式で,障害の発生を検知する「ネットワーク故障検知サーバー」が製品化済みである。パッシブ方式は,常時通信を監視してもネットワークに負荷をかけないため,リアルタイムに障害検知が可能だが,障害地点の特定まではできないという弱点があった。これにプローブを使ったアクティブ方式を組み合わせれば,障害の切り分けまで迅速に対応できるようになる。

 参考出展のプローブは試作品のため,缶ジュース程度の大きさで,別途電源供給も必要となっている。ただし,製品化する時点では親指大の大きさでイーサネット・ポートからの給電で稼働できるようにする予定だ。イーサネット・ポートに挿すだけで設置できるため,通信事業者のユーザー向けの障害対応業務に応用することなども検討中だ。大きさや価格は,今後の市場性や求められる機能によって変わるが,1台1万円以下程度にすることを検討している。年度内の製品化を目指している。