写真1●稚内の模型。雲に見立てたボードを太陽光パネルにかざしている状態
写真1●稚内の模型。雲に見立てたボードを太陽光パネルにかざしている状態
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写真2●「蓄電池作動ボタン」を押すと,電力が供給され,出力が安定する。
写真2●「蓄電池作動ボタン」を押すと,電力が供給され,出力が安定する。
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 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は,2008年10月15日~17日,東京ビッグサイトで開催中のITpro EXPO 2008 AutumnのグリーンITショーケースで,出力が1000kWを超えるメガソーラー(大規模太陽光)発電所の模型を展示,運転メカニズムを模擬的に再現するデモを実施した。

 メガソーラー発電所は,CO2を排出しないエネルギー供給技術であり,ドイツ,中国,米国カリフォルニア州など世界各地で建設が進んでいる。日本では,2006年度からNEDOが,実証研究に着手しており,北海道・稚内では出力5MW級(一般家庭1700世帯の消費電力に相当),山梨県・北杜では2MW級の発電所が建設された。

 「太陽光発電は天候によって出力が不安定になるため,安定した電力を供給するためにはバックアップ用の蓄電設備が必要。実証研究では,主に発電した電力を電気事業者の商用系統に連系する(系統連系)場合の安全性や信頼性について検証を進めている」と,NEDO 新エネルギー技術開発部の仲間博文氏は説明する。

 会場には,稚内及び北杜にある発電所の500分の1の模型を展示。実際に太陽光パネルが埋め込んであり,発電所の運転メカニズムを模擬的に再現する機能を持つ。

 例えば,北杜の模型では,太陽(実際には照明)が軌道に沿って動くと,それに追従するように,太陽光パネルの面が動く様子を確認できる。太陽光の入射角を最大化するように調整して,出力を増やすための仕組みだ。また,稚内の模型では,雲が出て太陽光が遮られた時に,出力がどう変化するかをモニタで確認できる(写真1)。雲に見立てたボードを太陽光パネルにかざすと,安定していた出力が落ち込むが,模型の横にある「蓄電池作動ボタン」を押すと,電力が供給され,出力が安定する(写真2)。

 「日本でも遅ればせながら,商用のメガソーラー発電所が動き出しそう」と,仲間氏は話す。大阪府・堺市と関西電力,シャープは共同で,堺市に出力10MWの施設を建設中で,2010年からの稼働を予定している。出力は最大で約18MWまで拡大する計画という。