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 「メインフレームのエミュレータからAjaxベースの画面に変え、受注入力業務のスピードを3分の1に短縮できた」。インテリア専門商社のサンゲツの多田健次情報システム部課長(写真)は2008年10月16日、ITpro EXPO 2008 Autumnの講演で自社のシステム構築事例を語った。

 同社では昨年10月受注システムを再構築。以降、順次機能を追加している。それまでメインフレームの基幹システムで実施していた受注入力や在庫・商品情報照会の機能をWebシステムに切り出した。データベースはメインフレームと同期を取り、Webブラウザから参照できるようにした。

 新システムの特徴は入力画面にAjaxをフル活用したこと。例えば、入力欄に商品名の一部を書き込むと、すべての文字を入力し終わる前に商品名の候補を表示する「サジェスト機能」をつけた。「Googleの検索画面を参考にした」(多田課長)。候補の中から商品名を選べば、関連して入力しなければならない商品コードの入力も同時に終わる。また商品名を選べばその商品の在庫状況や商品情報を動的に画面に表示する。

 こうした画面の変更だけで、受注1件当たりの入力時間を約3分の1に短縮できたという。「月間100万件の受注がある当社ではこの差は大きい」(多田課長)。

 さらに、これまで半年から1年かかっていたオペレータの教育期間が数日に削減できた。サジェスト機能により、初めてシステムに触れた人でも操作できるようになったためだ。一度にさまざまな情報を表示できるため、取引先から電話などで在庫照会の依頼を受けても即時に答えられる。

 以前はパソコン上のエミューレータで操作しており、商品コードを暗記していなければスムーズに入力できなかった。このため一人前のオペレータになるまでに半年から1年かかっていた。「習熟を促すために、社内で『商品コード暗記大会』を開いていたほどだった」(多田課長)。さらにパソコン上のエミュレータでは二つしか画面を開けなかったので、様々な情報を検索していると、消してしまった画面の情報を参照するのに手間がかかった。

 開発は富士通が担当した。Ajaxを使ったシステム開発のためのミドルウエア「Interstage Interaction Manager」を適用した。できた機能から順次リリースする方針を採用。1次開発は受注入力と問い合わせ機能を実装した。07年10月と08年2月に分けてそれらの機能をリリースした。現在はファクス受注、営業単価入力、などの2次開発を進めている。