写真1●日経ソフトウエアの笹田仁記者
写真1●日経ソフトウエアの笹田仁記者
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写真2●Google App Engineで作成したWebアプリケーションの画面
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 10月15~17日に東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2008 Autumn」の好評企画の一つが,記者自らが講演する「名物記者によるトレンド解説」。16日には日経ソフトウエアの笹田仁記者が登壇。新たなWebアプリケーションのプラットフォームとして注目を集めている「Google App Engine」の魅力について熱弁をふるった(写真1)。

 Google App Engineは,Googleのインフラを利用して作成したWebアプリケーションを公開できるサービス。講演では,笹田記者が自作したWebアプリケーションのコードを見せながら解説。Webアプリケーションのデモンストレーションも実施した。

 「Webアプリケーションを公開するには,Webサーバーを借りるなどの面倒な手続きが多かった。Google App Engineを使えば,この煩雑な作業から解放される」(笹田記者)。必要なものは,軽量言語であるPython(2.5系)の処理系,開発者向けキットのGoogle App Engine SDK,画像処理用ライブラリのPython Imaging Library,Googleアカウント,Google App Engineアカウントである。「日本ではPythonよりRubyなどの言語が有名だが,米国では人気のある言語。決して取っつきにくいものではない」(同)。

 Google App Engineを利用するに当たり,まず覚えておきたいのは「webapp FrameworkとDatastore APIという二つのAPIの使用方法」(笹田記者)。この二つのAPIを使ってPythonで自作した認証付きのWebアルバムのコードを説明するとともに,デモンストレーションを実演した(写真2)。

 笹田記者は,Google App Engineを使う上での注意点にも触れた。その一つが,ストレージは500Mバイト,公開できるアプリケーション数は10個など,1ユーザー当たりのリソースが制限される「クオータ」の概念だ。

 データベースに格納できるファイル・サイズにも1Mバイトという制限がある。加えて,「とりわけ日本語の扱いには注意しなければならない」(笹田記者)。文字コードがUTF-8,テキストがUnicodeかどうかを自動判定するBOM(Byte Order Mark)を付けると格納時にエラーになる,などの実例を挙げた。

 最後に記者が考える課題として「Python以外のプログラミング言語への対応,1ユーザー当たりのリソースの拡張,Google独自のデータベース仕様の改善,アプリケーションの稼働率の保証」を挙げ,「これらの点が改善されれば,小規模なWebアプリケーションなら商用でも利用できるのではないか」と締めくくった。