シード・プランニングの原健二氏
シード・プランニングの原健二氏
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 「すでに市場調査で73%のユーザーが,総合評価においてTV会議/Web会議に満足していると答えている。国内市場は順調に拡大し,2005年の191億円が2017年には1610億円に達する」---。

 市場調査などを手がけるシード・プランニング IT・エレクトロニクスグループ 執行役員の原健二氏は,2008年10月15日から開催中のITpro EXPO 2008 Autumnで講演し,企業におけるTV会議/Web会議の活用実態と今後の製品動向について解説した。

 原氏はまず,TV会議とWeb会議の業界動向を解説,それぞれの製品について説明した。

 TV会議は別名ビデオ会議とも呼ばれ,専用の端末装置を用いた遠隔会議システムを指す。価格帯は30万円から1000万円程度と幅広く,通信相手を含んで最低2台からの構成となる。TV会議とは別に,音声通話に特化した音声会議システムもある。一方,Web会議はWebブラウザなどパソコン・ベースのソフトウエアである。Web会議の提供形態としては,大きくSIサービス型とASPサービス型に分かれる。

 ユーザーの導入状況としては,中小企業は音声会議からスタートし,慣れてから映像へと移行する傾向にあり,大企業ではTV会議専用端末の導入事例が多く,今後はWeb会議へと移っていく傾向があるという。Web会議では,SI型よりもASP型の方が多いという。トレンドとしては,低価格化,HD化(高解像度化),災害時活用といった向きがあるという。

全国に拠点を持つ製造業が多く導入

 次に原氏は,TV会議/Web会議システムを導入済みの企業について,その現状をレポートした。

 業種別の導入状況では,全国に拠点を持つ製造業での導入が際立って多く,60%弱となる。卸・小売業では20%強,サービス業では10%強となる。規模における導入時期の違いでは,2000年以前の導入事例では従業員1001人以上の大企業が多く,2005年以降は中小企業が多くなっている。

 業種による導入目的の違いでは,大企業は経費節減が最も多く,次に移動時間の短縮が挙げられる。一方で中小企業では,社内コミュニケーションの活性化といった理由が挙がる。TV会議とWeb会議の比率ではWeb会議の比率が年々高まってきている。Web会議の中ではASP型が主流である。

 企業における利用実態では,週4回など頻繁にTV会議/Web会議を活用しているのは,卸・小売業である。日常業務に組み込まれていると言える。一方,導入したものの,ほとんど使っていない企業としては,情報通信業が目立つ。ほとんど使わない理由として挙がるのは,ニーズが無いというものと,通信相手がいない,というもの。使うようになるための条件としては,品質と操作性の高さが挙げられたという。

 総合評価において,73%のユーザーがTV会議/Web会議に満足しているという結果が出ている。今後,TV会議/Web会議の市場は広がると見られている。事実,TV会議/Web会議の市場規模は急拡大しており,2005年に191億円の国内市場は,2017年には1610億円になるという。