米連邦取引委員会(FTC)は,処方薬や減量ピルなどに関する膨大なスパム・メールを送りつけていたスパム業者に対して,米連邦地方裁判所がスパム送信や商品の誇大宣伝を禁じる仮差し止め命令を下したことを,米国時間2008年10月14日に明らかにした。

 ニュージーランド出身のLance Atkinsonと米国出身のJody Smithらは,スパムを中継するボットネットにより,オーストラリア,ニュージーランド,中国,インド,ロシア,カナダ,米国にまたがる巨大なスパム送信ネットワークを構築していた。アンチスパム団体のSpamHausの推計によると,ある時期,このスパム業者によって送信されるスパム・メールが,全世界のスパム・メールのうち3分の1を占めていたという。

 このスパム業者は,インドから輸入した薬を米国で認可を受けた処方薬と偽って販売したり,まったく効果が認められない減量ピルなどを売りつけており,FTCには300万件以上の苦情が寄せられていた。

 また,差出人が分からないように虚偽のヘッダ情報を使っていたほか,オプトアウト(受信拒否)手続きや住所を提供していなかったため,FTCはスパム対策法(CAN-SPAM Act)違反として,同月6日にイリノイ州の連邦地方裁判所に提訴していた。連邦地方裁判所は仮差し止め命令を言い渡し,被害者の救済に充てるためにスパム業者の資産を凍結した。