米連邦巡回控訴裁判所は米国時間2008年10月14日,米国際貿易委員会(ITC)が出した米QUALCOMM製LSIを搭載する携帯電話機の輸入禁止命令について,解除を決定した。

 ITCは2007年6月7日,QUALCOMMが米Broadcomの持つ米国特許「6,714,983」を侵害したと認定し,該当QUALCOMM製品を搭載する携帯電話機の米国内への輸入を禁止した。禁止命令の対象には,該当製品を扱う携帯電話機メーカーや通信キャリアなども含んでいた。これに対し巡回控訴裁は,ITCの特許侵害に関する判断は正しかったものの,QUALCOMM以外のサードパーティを禁止命令の対象とする法的権限がITCにないとし,ITCの判断を覆した。

 QUALCOMMが輸入禁止命令の解除を求めて巡回控訴裁に行った申し立てには,京セラの米国法人Kyocera Wireless,米Motorola,韓国Samsung Electronics,韓国LG Electronicsの北米事業LG Electronics MobileComm USA,三洋電機の米国関連事業Sanyo Fisher,ドイツT-Mobile Internationalの米国法人T-Mobile USA,米AT&T傘下のAT&T Mobility,米Sprint Nextel,米Palm,韓国のPantech&Curitel Communications,米UT Starcom,台湾High Tech Computer(HTC),カナダのResearch In Motion(RIM)なども参加していた。

 これまでQUALCOMMは,ITCの輸入禁止命令に対して大統領拒否権の発動を求めたが受け入れられず(関連記事:特許侵害で輸入禁止裁決を受けたQUALCOMM,大統領拒否権を要請へ),ITCに対する命令解除要請も却下された(関連記事:米国際貿易委員会,QUALCOMM製品の輸入禁止命令解除要請を却下)。そこで,巡回控訴裁に命令の見直しと停止などを求めた(関連記事:QUALCOMM,携帯電話機の輸入禁止命令に対して巡回控訴裁に申し立てへ)。巡回控訴裁は,サードパーティ製品に対する輸入禁止措置の保留を決めていた(関連記事:BroadcomとQUALCOMMの特許侵害係争,サード・パーティ製品は輸入禁止措置を保留)。

 問題の特許のタイトルは「Modular, portable data processing terminal for use in a communication network」。1995年8月11日に申請し,2004年3月30日に成立した。無線信号を検出できない場合に携帯電話機の消費電力を抑え,携帯電話機のバッテリ駆動時間を延長する技術。

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