写真1●震度5以上の地震時の通電を停止する「グラッとシャット」<br>左上の地震計を備える親機と,親機の命令を受けて通電を停止する右下の子機でシステムを構成する。
写真1●震度5以上の地震時の通電を停止する「グラッとシャット」<br>左上の地震計を備える親機と,親機の命令を受けて通電を停止する右下の子機でシステムを構成する。
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 東京電力とアドソル日進は,2008年10月11日~12日に東京ビックサイトで開催された「地域総合防災力展」において,地震時に電気器具への通電を止めるシステム「グラッとシャット」を展示した(写真1)。「地震時に電気器具が原因の火事を防止するのが目的」(東京電力 販売営業本部営業部技術サービスグループの荘司剛志主任)の装置である。

 グラッとシャットは,親機である地震計が震度5以上の揺れを感知すると無線で子機に通知し,子機経由の通電を止めるシステム。子機はコンセントと電気器具の間に設置しており,地震時には子機につながっているものに関して通電を遮断できる。例えば,ストーブや電気ポット,オーブン・トースタ,アイロンなどの電熱器具を子機につないでおくことで,地震時に火災が発生するのを防げる。「従来から地震時に全電源を止めるという装置はあったが,それだと避難のときに必要な照明や情報収集に必要不可欠なテレビ,食料の確保に必要な冷蔵庫などでも電源が落ちてしまうため,使い勝手が悪かった」(荘司主任)。グラッとシャットなら子機の接続場所によって地震時に電力供給を止める器具を,あらかじめ選択できる。

 親機と子機の間の無線規格としてはZigBeeを利用する。親機の電波が届かない場所に子機が設置される可能性も考慮し,別の子機が通信を中継して遠くにある子機と親機との間での通信を可能にするマルチホップにも対応する。親機と子機の登録(ペアリング)は,親機にある登録ボタンを押し,ランプが点滅している間に子機の接続ボタンを押すことで完了する設計にした。

 価格は親機と子機1台のセットで1万1970円。追加の子機1台ごとに5880円。2008年10月8日より販売を開始した。今後,地方自治体や病院,高齢者福祉施設などへの販売を目指すという。